週刊・上杉隆
【第126回】 2010年5月20日
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上杉隆 [ジャーナリスト]

メディアを揺るがす“大贈収賄事件”
官房機密費を懐に入れたマスコミ人たちの常識

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 三宅氏は何か勘違いしているのではないか。ジャーナリズムにおいて良好な関係を維持すべきは、その関係が社会的にも法的にも健全な場合に限定される。

 とりわけ対象が政治権力であるならば、それはなおさらだ。

 むしろ関係悪化を恐れるばかりに、結果として「犯罪行為」の片棒を担ぐようなことになることこそ、恐れるべきなのではないのか。

“賄賂”を受け取らないと
世の中が成立しなくなる?

 政治評論家の俵孝太郎氏もこう語っている。

〈昔は一定水準以上の記者が退職したら、その後の金銭提供はいくらでもあった。今は問題視されているが、当時はそれが常識だった。(機密費の使途の一つの)情報収集の経費に領収書は取れない。労働組合や新聞社も同じことで、そうした金がなければ、世の中が成り立たなくなる〉(東京新聞)

 所詮、テレビで立派なことを言ってきた評論家はこの程度の認識なのだ。機密費という賄賂を受け取らないと「成立しない世の中」とはいったいどんな世の中か。

 それこそが記者クラブ制度のぬるま湯の中で権力と一体化し、自らの既得権益を守るために国家・国民を騙して洗脳し続けてきた戦後の日本の「世の中」ではないか。

 広辞苑にはこう載っている。

〈ぎ・ごく【疑獄】 俗に、政府高官などが関係した疑いのある大規模な贈収賄事件をいう。「造船―」〉

 まさしく公金でもある機密費が、新聞・テレビなどのマスコミ機関に渡ったことは、「政府高官」である官房長官による「大規模な贈収賄事件」そのものではないか。

 すべての新聞・テレビは早急に内部調査を始めるべきである。

世論調査

質問1 マスコミ人の官房機密費受け取りは是か非か
絶対許されない 許容できる範囲 全く問題ない

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上杉隆 [ジャーナリスト]

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。


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