週刊・上杉隆
【第126回】 2010年5月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
上杉隆 [ジャーナリスト]

メディアを揺るがす“大贈収賄事件”
官房機密費を懐に入れたマスコミ人たちの常識

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 ダイヤモンド・オンラインでも官房機密費とメディアの問題に触れざるを得なくなったようだ。

 4月19日、野中広務元官房長官がTBSの番組「NEWS23クロス」で初めて暴露してからすでに1ヵ月経った。その間、テレビ・新聞はこの問題を完全に黙殺している。

 一方で、ネットやラジオの中ではこのテーマが論争にまで発展している。そこで問題視されているのは、機密費そのものの是非についてではない。

 ネット利用者やラジオリスナーの怒りの矛先は評論家やコメンテーター、新聞の論説・解説委員、あるいは記者クラブ所属の記者たちにまで機密費が流れていた、という信じがたい疑惑に向かっているのだ。

もはや“大疑獄事件”に
発展しかねない大事件

 だが、もはやそれは疑惑ではなくなっているようだ。筆者は、今週から「週刊ポスト」誌上この問題の追及キャンペーンを始めたばかりだが、その取材過程で、すでに多くのマスコミ人が機密費の受け取りを認めはじめている。

 この問題は、その内容だけみれば、政府高官の関わった「贈収賄」であり、もはや政界と報道界全体を揺るがす「大疑獄事件」に発展してもおかしくないものである。

 にもかかわらず、きのう(5月18日)、「東京新聞」が特集しただけで、いまだにメディアは沈黙を守っている。いったいなぜだろうか。

 答えは言わずもがなである。連日のようにテレビや新聞に登場しては、至極立派な発言を繰り返している至極立派なマスコミ人の多くが、機密費の「毒饅頭」を食らっているからに他ならない。

 畢竟、官房機密費は「政治とカネ」の問題の肝であるはずだ。世界中の健全なジャーナリズムであれば、税金を原資とする機密費が、権力の不正をチェックすべき側のメディアに渡っていたとしたら、大問題となって連日、大騒ぎしていることだろう。

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上杉隆 [ジャーナリスト]

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。


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