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2010年5月25日 (火)

小沢一郎幹事長の容疑は「単なる期ズレ」の問題ではない。検察の内なる敵(文春)

ヤメ検弁護士・郷原信郎氏が小沢氏の土地取得に関し、日経ビジネスで「単なる期ズレの問題」であって、政治資金規正法による違法性を問われることは何もないと書いていた。では、なぜ秘書が3人も逮捕されたのか。石川容疑者は虚偽記載を認めているのに郷原氏はまったくの“冤罪”と言い張るのだろうか。問われているのは、その動機と悪質性なのである。

※以前、政治資金規正法の「規正法」を「規制法」と書いていたと思う。
(;・o・)ア・・・と気づいたのはずいぶん前なのだけれど、訂正するには時既に遅し。直すのがめんどうなのでそのままにしています。

先週、報ステのコメンテーターとして鳥越氏が出ていた。郷原氏がバカにするオバチャン達のほうがまだ気の利いたおしゃべりをする。「よくわからない・・」と正直だし、自分の分を知っている。見識ぶってる鳥越氏の感情論は、単なる無駄口でしかない。

鳥越氏は、小沢氏の捜査では検察批判を繰り広げ、小沢氏が不起訴処分になって検察審査会が起訴相当の議決を出すと、「プロではない市民感覚」に文句を付ける。
“市民派”の良識を気取る鳥越は、「小沢氏不起訴」になったとたん検察批判は止めたの?いきなり「検察の不起訴処分はプロの判断。それにひきかえ検察審査会は・・」と方向転換するあたり、このオヤジのダブルスタンダードには吐き気を覚える。

小沢氏の不動産取得にあたって、2004年度の政治資金収支報告書への4億円不記載は単なる「期ズレの問題」ではない。

虚偽記載が単純ミスではないことは、すでに石川供述によって明らかになっている。
「単なる期ズレ」は違法性がないことを証明するわけではなく、「だから?何のためにずらしたの?」と裁判官につっこまれて墓穴を掘りかねない、情けない論法なのである。

秘書らの裁判では、問われるのは「悪質性」の度合い。つまりなぜ虚偽記載をしたのか、その動機が争点となるのである。親分に通り一遍の報告だけして、詳しい内容を悟られずに勝手に虚偽記載をしたら親分への背任であり、罪が重くなる。小沢氏は「自分の知らないところで秘書達がやった」と主張しているのだから、「秘書に裏切られた!」と もっと憤慨していてもよさそうなものである。ところが、そんな様子は微塵もない。

本来、弁護士の役目として、石川容疑者の弁護士は「親分の関与」を明らかにすることが情状酌量を得ることに寄与するはずだが、秘書らの情状酌量はすなわち小沢氏の関与を認めることになるので、最後まで「秘書が勝手にやったこと」で押し通す。弁護士も小沢の傀儡。

検察は小沢氏を不起訴処分にしたので、整合性をとるため秘書の裁判でいまさら小沢氏に不利な証拠は出してこないだろう。水谷社長証言やゼネコン各社の調査資料などは闇に葬られる。特捜部の努力は何だったのか。小沢無罪のシナリオはもう決まったも同然である。

しかし、検察第5審査会は石川供述に基づいて、「小沢氏の了解」とは「小沢氏の関与」に他ならず、虚偽記載は小沢氏の意を受けた行為と判断した。根拠はあくまでも石川供述なのである。

読売がスクープしている。

登記翌年の提案に、小沢氏「そうしてくれ」

小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、同会が2004年、土地購入などに充てた4億円を同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針について、小沢氏に報告し、了承を得たとする同会元事務担当者・石川知裕衆院議員(36)(起訴)の供述の詳しい内容が、読売新聞の取材で分かった。

 供述では、石川被告が、問題の土地購入が表面化しないよう、土地登記を翌年にずらすことなどを提案し、小沢氏は「そうしてくれ」と了承したとしている。

 東京地検特捜部は、同法違反について小沢氏を不起訴(嫌疑不十分)としたが、東京第5検察審査会は4月27日、「起訴相当」と議決した。同審査会は、こうした石川被告の具体的な供述が、小沢氏の関与を示す直接的な証拠にあたると認定したとみられる。

 石川被告の起訴状などによると、同会は04年10月29日、小沢氏からの借入金4億円を使って東京都世田谷区深沢の土地を約3億4000万円で購入しながら、4億円の収入を同会の同年分収支報告書に記載せず、代金の支出なども05年分に記入していたとされる。

 石川被告の供述によると、石川被告は当時、小沢氏が用意した4億円が簿外資金で、表に出せない金ではないかと推測。04年分の収支報告書に土地購入を記載すると、05年9月頃に公表されるため、翌06年9月頃に予定されていた次期同党代表選に向けた党員やサポーターの獲得に支障が出ることを懸念したという。

 そこで、石川被告は土地購入に先立って、小沢氏に対し、「このままだと、土地の購入のことや、先生が用意した4億円が表に出て、騒がれる恐れがあります」と助言。4億円の借り入れが表に出ないようにするため、土地の所有権移転登記を05年1月にずらすことを提案すると、小沢氏は「そうか。そうしてくれ」と了承したという。

 また、石川被告は、小沢氏からの借入金で土地を購入したことを隠すため、10月29日に土地代金を支払った後、定期預金を担保に新たに小沢氏名義で4億円の融資を受けることにした。石川被告は事前にその必要性を説明し、了解を得る必要があると考え、小沢氏に報告すると、小沢氏は「おう、わかった」と答え、融資申込書への署名を引き受けたと供述していた。

(2010年5月13日03時02分  読売新聞)

石川氏が任意聴取を受けていた頃、読売が「全面自供」とフライングした。その記事を知って、追い詰められていた石川氏が精神的に持ち直し、それ以後は口を開かなくなった。「読売の捜査妨害だ」と特捜内部で怒りの声が上がったらしい。(宗像氏)

「完オチ」に近づいた時の供述が上記の内容なのだろう。

石川供述書が示していることは、明らかに「小沢氏の了承」は上の空で聞いていたわけではなく、積極的な関与を意味している。「共謀」に当てはまる。検察審査会の議決は、「小沢が悪いと喧伝するマスコミに誘導された市民の感情論」ではない。郷原氏や鳥越氏・上杉氏らは、今度は堂々と「市民の暴走」と検察審査会批判のキャンペーンを張ったらどうか。第二回目の議決に影響を与えることができたらしめたものではないか。

小沢氏のマスコミ対策用弁護士の郷原氏は、徐々に馬脚を現し始めている。専門家として純粋な法律解釈を世間に教示しているつもりのようだが、法律論はある面、恣意的に解釈する余地を残している。立法に携わる国会議員が「正義の実現」を担う以上、虚偽記載が軽微だとか形式犯だと言い訳するのは見苦しいし、秘書の逮捕に関係ない態度を取るべきではない。国会議員は国会の場で説明するのが筋である。

民主党政権下で総務省顧問を務め、民主党議員有志の「司法のあり方を検証・提言する議員連盟」で指南役を務めた郷原氏は、少し襟を正したらどうか。バックグラウンドが「民主党政権」である限り、李下に冠を正さず。言動を慎むべきである。

郷原氏はこんなことを言い出した。

@nobuogohara:10月時点で地目が農地、小沢氏の名義は「所有権移転請求権」。翌年1月に農地転換が完了..本登記が完了、記載違反さえ無い

「記載違反さえ無い」のであれば、なぜ秘書が3人も逮捕されたのか。3人とも冤罪だと言い切れるのか。

司法ジャーナル

本誌の取材によると、小沢氏からの4億円を原資として陸山会が、購入した土地は東京都世田谷区深沢所在、大地主の相続物件の1部であった。
その土地を「東洋アレックス」(東京都渋谷区、桑木勇一社長)が買い取った。
「東洋アレックス」は買い取った土地を地元の仲介業者に1宅地約1001平方メートルの売り地としてチラシを撒くことを依頼、仲介業者がチラシを撒いた。

農地の所有権移転は農地法でガチガチに保護されているため、特別なコネでもない限りそんな短期間に手続きは完了しない。第一、東洋アレックスが売りに出していたということは、その土地はすでに宅地だったはずである。

一気に書いてしまいたいので、長くなるけど もうしばらくお付き合いを。

小沢氏起訴を強硬に阻んだのは、今回も大林宏東京高検検事長と伊藤鉄男最高検次長検事だった。「検察が正義」などと言うほど私もナイーブではないが、上層部の保身のために捜査が歪められているとしたら、正義以前の「検察改革」が必要である。

宗像氏は「大物政治家をあげようとするのは検事のDNA」と言っていた。郷原氏は検察の汚いやり方に反発して辞めたらしいが、凶悪な犯罪者も弁護するのが弁護士という仕事。どんな仕事にも良心の咎める側面はあるし、大義もある。虎穴に入らずんば虎児を得ずのたとえどおり、犯罪摘発の現場が清廉潔白のお仕事と思ったら大間違いである。

権力側の有力政治家への捜査が強引であったり、あるいはスケープゴートを仕立てて本命には手心を加えたりすることの是非はともかく、そういう「小さい傷を大きく広げて塩をすり込む」検察の存在があるからこそ、政治の不正を許さない抑止力となっているとも言える。

週刊文春が「小沢一郎vs検察」の内幕をすっぱ抜いている。

小沢氏の3度目の聴取にあたったのは木村匡良検事。石川容疑者の供述書との矛盾をついていったが、小沢氏は知らぬ存ぜずで通した。

東京地検関係者が打ち明ける。

「今回の聴取では石川知裕衆院議員ら元秘書二人の自白内容をぶつけて子細に矛盾点を追及する戦術だった。狙いは一つ、決定的な供述の食い違いを引き出し、その裏付け捜査として小沢邸のガサに入ること。そこで新証拠を押収し、今度こそ特捜部の手で起訴する。それが現場の本音だった。でも、最後の壁は崩れず、起訴には持ち込めそうもない。壁とは、小沢氏のことじゃない。“内なる敵”が起訴したがらないんだ

小沢氏の「知らない」と言い張ること自体が矛盾だったのである。石川氏の「完オチ」に近い聴取を判断材料として、検審の議決ははっきりと述べている。

「絶大な指揮命令権限を持つ小沢氏の地位と(石川氏ら)三人の立場などを考慮すれば、共謀共同正犯が成立する。小沢氏を起訴し、公開の場で真実を明らかにすべきである」

カネの出し入れに関して、秘書達はすべて小沢氏の命令に従っていたことは、元秘書の高橋嘉信氏が明かしている。それぞれの秘書には全体像を明かさず、横の連携を取らせなかった。つまり全体のカネの流れは小沢氏本人しかわからない仕組みだったのである。郷原氏はこれでも「記載違反すら無い」と言うつもりだろうか。

また、石川被告は銀行から4億円の融資を受けて、「不動産購入のために小沢氏が用意した4億円の存在を隠そうとした」と認めている。銀行融資の申込書などにある小沢氏の署名、押印も共謀を立証できる証拠と検察審査会は指摘している。

銀行融資の4億円を陸山会が用意して返却した経緯も収支報告書に記載されていない。市民団体がこの件も申し立てし、検察第一審査会が審議中だという。

特捜部と検察キャリア上層部の温度差はいかんともしがたい。
陸山会を強制捜査した時に見つかった多額の現金の出所など、特捜部の執拗な捜査努力が報われることはなかった。

地検関係者は憤りのあまりか、取材に対し、内なる敵の中心人物まで名指しした。

「実質的な判断を下す特捜部長経験者の伊藤鉄夫最高検次長検事がとにかく慌てていた。時の政権中枢にくみしたがる人物で、再び不起訴工作に動いた。引退間際の樋渡さんや、総長就任目前でひよりっぱなしの大林さんに加えて、子飼いの鈴木和宏最高検刑事部長渡辺恵一東京高検次席検事を味方に引き入れ、検察首脳会議を開いても起訴できなくしてしまったんだ。上層部では少数の起訴強硬派は『伊藤さんに票固めをされてしまった』とこぼしていた」

実名バッチリのなんという生々しい証言、、

石川氏の元私設秘書・金沢氏が松田賢弥氏の取材に対し、生々しいにも程があるw小沢秘書らの証拠隠滅行動を詳細に証言していた。段ボール5箱分の証拠物を最終的に懇意の弁護士の元に運んでいる。その弁護士の名前もわかった。小沢氏の秘書出身の南裕司弁護士である。今回の聴取でもマスコミの裏をかく段取り工作をしていた。

検察審査会では再び「起訴相当」の議決が出る可能性が高い。
しかし、新たな証拠が出ない限り、小沢氏が強制起訴されても裁判でクロとなるかはあやしい。というのは、強制起訴の場合は、捜査をしてきた検察の手を離れて弁護士が検事役に選ばれ、検察は公判に直接携われないのだという。これでは、小沢氏をがっちり護るヤメ検弁護士達には太刀打ちできないと地検関係者は言う。

「政界の最高実力者を相手に公判で有罪を勝ち取るのは絶望的で、結果として検察の敗北になる」

誰の敗北なのか勝利なのか知らないが、いくら小沢氏が秘書に罪をかぶせようとも、小沢氏が数々の法の網目を悪用して倫理的な問題を抱えていることは周知のことである。

これを一般的に 世間様の目はごまかせてもお天道様にはごまかせない と言う。

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