山田正彦農林水産副大臣は24日の記者会見で、宮崎県が経過観察にするよう要望していた49頭の種牛について、家畜伝染病予防法に沿って殺処分する方針を明言した。処分されれば種牛は主力級の5頭だけになることから、回避を求めていた地元には落胆も広がった。
政府の現地対策本部長を務める山田副大臣は会見に先立ち、鳩山由紀夫首相や赤松広隆農相などと会談。種牛49頭について農相は「ただちに殺処分だ。法律に従ってやるしかない」と語り、殺処分の方針を確認したという。宮崎牛ブランドを守るため例外措置を求める県に対し、口蹄疫(こうていえき)の封じ込めを優先させた形だ。
記者会見で山田副大臣は「49頭が今でも生き残っていて、ウイルスをまき散らす(恐れがある)のは許せない」と述べた。宮崎県産牛の種牛は49頭のほか、主力級の6頭がいたが、6頭のうち1頭は感染の疑いが判明し、殺処分された。
宮崎県川南町など4町の半径10キロ圏内のすべての牛豚へのワクチン接種に関しては「25日中に、ほぼ大まかなところは終わらせたい」と説明。農家への財政支援など一連の対策による予算額は500億円規模に達するとの見通しを示した。
一方、宮崎県の東国原英夫知事は24日、記者団に「畜産業界の思いを守ってもらいたい」と語り、引き続き49頭の経過観察を求める考えを示した。同日までに都城市の畜産農家から種牛保護を求める6200人分の署名が届いたという。知事は「県外からも(保護の)要望がきている」として種牛の重要性を訴えた。
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