【記者手帳】どっちが「ねつ造専門家」?

 19日、ソウル市鍾路区の「参与連帯」ホールで行われたシンポジウムで、ソウル大学獣医学部の禹希宗(ウ・ヒジョン)教授は「ねつ造専門家」という言葉を使った。禹教授が攻撃したのは、2008年の米国産牛肉輸入反対デモ(ろうそくデモ)時に政府側専門家として活動した教授や医師らだ。禹教授は彼らに対し「実際に狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)の研究をしたわけでもない、国際プリオン学会に出席したことも、論文を発表したことも一度もない人々が、突然『狂牛病専門家』になった」と言った。

 ところが、シンポジウムで禹教授の隣に座った獣医や医師も、プリオン学会会員でなく、BSE原因物質であるプリオンに関する論文を発表したことがない人々だった。彼らは、ろうそくデモを主導した「狂牛病対策会議」で専門家諮問委員として活動した。禹教授の論理通りなら、彼らも「ねつ造専門家」になる。彼らは、ろうそくデモの時に「韓国最高の狂牛病専門家」と宣伝され、一部メディアに登場し、「米国産牛肉は危険だ」と主張した。

 政府側専門家として表舞台に立った同じ大学の同僚教授を、迷うことなく「ねつ造専門家」と批判した禹教授だが、狂牛病対策会議側の人々には専門性の有無を問いたださなかった。

 MBCの時事番組『PD手帳』に対する訂正・反論報道請求訴訟で、一審・二審は「狂牛病にかかった牛肉を韓国人が食べれば、人間狂牛病(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病〈vCJD〉)にかかる確率が94%」という表現は虚偽だとの判断を示した。この日のシンポジウムで、記者が「94%という確率について、どう思うか」と質問すると、禹教授は「専門家に対し適切な質問ではないので、『正しい』『間違っている』というのは難しい」とだけ答えた。

 禹教授はこのところ、4大事業・首都移転問題・メディア法など、大きな政治争点が浮上するたびに登場し、自己主張している。どれも禹教授の専攻とはかけ離れている分野だ。禹教授の言う論理通りなら、教授自身も「ねつ造専門家」と言えよう。

経済部=チェ・ギュミン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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