魁皇が千代の富士以来の1000勝/夏場所
<大相撲夏場所>◇千秋楽◇23日◇両国国技館
大相撲夏場所千秋楽で大関魁皇(37=友綱)が、史上2人目の通算1000勝を達成した。大関琴欧洲(27)を寄り切り、1045勝の元横綱千代の富士に続いて、大台に到達した。88年3月の初土俵から、我慢に我慢を重ねること22年2カ月。満身創痍(そうい)の体で、土俵に生きざまを刻み込んだ。
立ち合い激しくぶつかり、胸を合わせた体勢から、魁皇が必殺の右上手を取った。左四つ。琴欧洲のまわしをグッと引きつけ、土俵の外へ追いやった。噴き出す汗にも、表情は変えない。取組前に続き、場内から魁皇コールが起きた。
節目の勝利は、ファンが喜ぶ得意の形。「いろんな人が応援してくれた。その声で気合が入って、とにかく絶対、自分の形でいこうと、それだけ考えていきました」。インタビュー室で花束を受け取り、カメラマンから「ガッツポーズを」の要求には「そんな年じゃないでしょう?」とやんわり断った。
中卒のたたき上げ。88年春場所の同期入門には、若貴や曙がいる。派手さはなかったが、長く続けて勝利を積み上げた。
魁皇 あきらめずにやってきた。いろんなものを犠牲にしながら、相撲のことばかり考えてやってきたことが今につながっているのかな。相撲を続けるには、いろんなことを我慢してやらなきゃいけないから。
初勝利から8049日。今も我慢は続く。両ひざのテーピングとアイシングは欠かせず、腰の神経痛は慢性化している。800勝以降は特にペースが落ちた。かつては年間10勝を稼いだ右上手投げも、09年はわずか1勝。今場所前「昔は(右上手を)取れば何とでもなった。今は安心できない。力は落ちていると思う」と漏らした。
支えの1つは、99年6月に結婚したプロレスラーだった充子夫人(42)の存在だ。1月に引退した戦友の元大関千代大海(佐ノ山親方)が明かす。「7割方、奥さんのおかげ。相撲界は独特だけど、格闘技をやっていたから、声のかけ方、心の持ち方など素人ではできないことをやっている。オレもあんな奥さんなら、結婚したい」。
多くを語らず、派手さを嫌う。外国勢が席巻する角界で、古き良きお相撲さん風情は共感を呼ぶ。このペースなら、あと1年で歴代1位の1045勝に手が届く。師匠の友綱親方(元関脇魁輝)は「東京湾から手こぎボートで、八丈島に向かうようなもんだよ」と笑う。記録に無頓着な魁皇は「ここまできたら、納得いくまで相撲が取れれば、それでいい」と言った。我慢する姿勢は、これからも崩さない。【佐々木一郎】
[2010年5月24日9時13分 紙面から]
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