「子豚も一緒に処分して、一緒に埋めてくれ。かわいそうすぎる」。宮崎県で牛や豚に感染が広がっている口蹄(こうてい)疫。授乳中の母豚を子豚から引き離し、獣医師が薬品を注射して殺したとき、養豚場を営む父親が泣きながら叫んだ
徳島新聞社など、全国の地方新聞社と共同通信社が運営するサイト「47NEWS」に、養豚場を手伝う息子からそんな悲痛なメールが届いた。獣医師も「ごめんね」とわびながら、注射を打たれて、ぐったりとなった子豚を両手で抱きかかえたという
畜産農家のつらい現実が、ひしひしと伝わってくる。口蹄疫で殺処分の対象となった牛と豚は、これまでに宮崎県内で11万8千頭(18日現在)。殺処分されるたびに、冒頭のような光景が繰り返されるのだろう
政府はきのう、発生地点から半径10キロ以内のすべての牛や豚にワクチンを接種して感染拡大を抑え、接種後に全頭を殺処分することを決めた。新たな殺処分対象は20万5千頭に上るという
感染防止のためにはやむを得ないのだろうが、農家の人々の心情を思うと胸が痛む。被害がここまで拡大した背景には、初期の段階で宮崎県が口蹄疫を見逃したこともあったようだ
不安は徳島県内の農家にも広がっている。宮崎の教訓を生かして、万全の対策を取りたいものだ。もうこれ以上、農家の悲痛な叫びは聞きたくない。
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