児童ポルノ:発見直後に遮断 政府WG「現行法で可能」

2010年5月25日 2時30分

 インターネット上の児童ポルノ対策として検討されている「ブロッキング」について、政府の犯罪対策閣僚会議の児童ポルノ排除対策ワーキンググループ(WG)は24日、「画像発見後の速やかなブロッキングの実施は現行法下で可能」との了解事項をまとめることでほぼ合意した。「通信の秘密」を最大限守るため、他に手段がない場合に限るべきだとの意見もあったが、削除要請や捜査と並行してブロッキングを行うことが可能となる見通しになった。

 合意を受けてWGは犯罪対策閣僚会議が6月に決定する児童ポルノ排除総合対策の原案を週内にも策定する。

 ブロッキングに関しては今月、プロバイダーらが実施について合意した。だが、利用者が児童ポルノサイトを閲覧しようとしていることを検知する行為が、憲法や電気通信事業法で定める「通信の秘密」の侵害に当たるとの指摘もあり、実施主体となるネット業界は「捜査や削除要請を尽くしても画像や動画が流通しているなど、特別な事情がある場合に限るべきだ」と主張。総務省も同調してきた。

 警察庁は、捜査や削除要請の過程でも画像流出が広がる恐れがあることから、「ブロッキングが可能な事情を限定することで、実効性が損なわれる」と反論。WGは検討の結果、「被害児童の権利保護を優先すべきだ」との認識で一致した。

 実際の運用には(1)児童ポルノを掲載しているアドレスのリストを作成・管理する団体を設立(2)プロバイダーがリストに基づいてブロッキングを実施--との仕組みがほぼ固まっている。ただ、リスト作成管理団体の構成メンバーや運営方法などについて、警察庁が「官民連携」を重視するのに対し、ネット業界では「民間主導」を望む声が強く、今後の焦点となりそうだ。

 【ことば】ブロッキング インターネットの利用者が違法なサイトを閲覧しようとする際、プロバイダー(接続業者)がアクセスを強制的に遮断し、閲覧を阻止する措置。児童ポルノ拡散防止対策の「切り札」とされる。利用者の同意を前提としない点でフィルタリングと異なる。海外では欧米を中心に導入が広がっている。

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