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【口蹄疫】拡大の理由は? 10年前の殺処分はわずか735頭 (2/2ページ)
宮崎大農学部の後藤義孝教授(家畜微生物学)は、「発生の集中する川南(かわみなみ)町では牛と豚がモザイク状に飼育されている。牛に感染し、遅れて感染した豚が多くのウイルスを排出、また牛が感染…と広がったのではないか」と指摘する。
現段階で被害の約9割が豚。豚に拡大した4月28日以降、発生ペースは上昇したが農水省の防疫対策に大きな変更はなかった。この点についても、農水省や県は対応を問われそうだ。
一方、症状の発見から感染疑い確認までの時間に大差はない。今回、4月20日に最初に感染疑いが確認された牛については、9日に口内に軽い潰瘍(かいよう)があるとの連絡を受けた県家畜保健衛生所は経過観察とし、遺伝子検査を依頼したのは17日に別の2頭に症状が見つかってからだった。農水省の牛豚等疾病小委員会の田原健委員長は「通常の対応だ」とする。
だが、今回は6例目に感染疑いが判明した水牛に、3月末から下痢などの症状があったことが明らかになっており、判断基準に疑問も残る。
殺処分や家畜の移動制限の実施なども変わらないが、前回は制限区域が現在より広かった。農水省幹部は「前回の対応方針は交通や経済活動が活発でなかった数十年前のもの。現在は必要最小限で済む制限になっている」と説明する。
(高橋裕子)