宮崎県で拡大する口蹄疫(こうていえき)被害から「鹿児島黒牛」ブランドを守るため、鹿児島県は24日、県所有のエース級や将来有望な種牛6頭を鹿児島港(鹿児島市)から約380キロ南の喜界島へフェリーで避難させた。県は、別の種牛6頭と「かごしま黒豚」の種豚150頭も種子島などへ避難させる予定だ。
牛6頭は、3頭ずつトラック2台に分乗して港に到着。消毒を受け、客の乗船や荷物の積み込みが終わった後、トラックごと定期船「フェリーきかい」に乗り込んだ。乗船を待つ牛たちは、慣れない移動に戸惑っているのか時折周囲を見回し「モー」と鳴き声を上げた。6頭は25日早朝に喜界島に到着後、畜産農家の牛舎で飼育される予定。
県所有の種牛53頭は同県曽於市にある肉用牛改良研究所で飼育されていた。制限区域外だが、感染が広がれば移動できなくなる可能性もあるため、県が早めに避難させた。避難先は発生地から遠く、家畜に危険な病気のない2島に決まった。当初、口永良部島も検討されたが、条件が合わなかった。避難させる牛は、畜産農家からの人気や次世代を担う将来性を考え、若い牛を中心に選んだという。
県内には民間所有の種牛もいる。一部業者からは避難要望が出ており、種牛の避難はさらに増える可能性もある。