都内のパチンコ景品交換所で、特殊景品の買い取り価格が今週末までに3500円から4000円に値上がりする。景品に使われている金の価格急騰に伴う措置だが、ここにきて金相場は急落。この措置は現時点では意味をなさなくなってしまったが、パチンカーにとってはちょっと不便なことに。値上げ前までは500円単位で換金できたものが1000円単位となり、ほしくもないチョコやタバコを余計にもらうケースが出ている。
先週、仕事帰りにホールに寄ったところ、わずか1000円で4連チャンした。出玉を特殊景品と交換すると、いつもより少ない感じ。違和感を覚えながら景品交換所に行くと、「大景品(の買い取り価格)は4000円に値上げ」と張り紙がしてあった。
特殊景品には「大」と「小」の2種類があり、今回値上げしているのは「大」(金チップ1グラム)のほう。「小」(同0・3グラム)は従来通り1000円となっている。
都内のホールに景品を卸している東京商業流通協同組合(豊島区)では「大景品は18日から順次価格の改定を進め、今週中には都内の全店舗で完了する」と話している。
今回の値上げは、金相場が一時1グラム=3500円を突破し、4000円近くまで上昇したため。
景品の「大」は、金相場が上昇して4000円を超える水準になると、景品交換所に持ち込むより、貴金属店などに持ち込んだ方がより多くの現金をゲットできる可能性が出てくる。
「貴金属店では、1個あたり約500円の品質検査手数料をとって金を買い取っている。もし金1グラムが4000円を超す水準になると、500円の手数料を払っても3500円以上の現金を手にすることができる」(関係者)
実際、2007年に金相場が急騰した際には、景品を貴金属店に持ち込むケースが増加。このときは、景品の“流出”を防ぐため、「大」の買い取り価格を2500円から3500円に引き上げている。
それを今回4000円にしたわけだが、間の悪いことに金相場は先々週末から急落。田中貴金属工業の金1グラムあたりの買い取り価格は13日に3855円を付けた後に6営業日続落し、21日は3527円となった。
この水準では貴金属店に持ち込む向きは皆無だろう。
一方、特殊景品の値上げはパチンカーに不便を強いることに。
値上げ前は3500円と1000円の景品を組み合わせることで、ほぼ500円単位での換金が可能だった。それが4000円と1000円になると、換金の最小単位が1000円になる。そうなると、本意でないタバコやチョコなどへの交換が増えることになる。
金相場の急落で景品の価格を元に戻すことはあるのだろうか。東京商業流通協同組合は「金相場の下落時は景品の外部流の心配がないので、(買い取り価格を下げるという)対応は若干ゆっくりになるかもしれません」と話している。
金相場の動向をじっくりみたうえで判断するということのようだ。