少女は夢を見る。決意を持って戦う、一人の少年の夢を。
『……僕が守らなくちゃ』
少女は夢を見る。閉鎖された空間で、少年が巨大なロボットに乗り込む夢を。
『……守らなくちゃ、いけないのにっ』
少女は夢を見る。巨大な黒色の異形に、少年の乗るシンプルなロボットが破壊されていく様を。
『……僕じゃ、無理なのかな。無理なんだろうな。でも、守らなくちゃいけないんだっ』
少女は理解していた。少年がボロボロで、町を傷つけないように少年が作り上げた閉鎖空間。いわゆる「結界」の構成事態が既に崩れかかっている事を。
そして少女の心に、傷つき疲れた少年の、胸を切り裂くような慟哭が伝わった。
『……どうか、どうかお願いします。情けないのは分かってる。それでも、皆を守る為に、貴方の大切な誰かを守る為に、この声が聞こえた誰かっ、どうか力を貸してください!!!』
――だから、少女は。「高町なのは」は目を覚ます。少年を、引いては大切な人々を守るために。
着替えもしないで、なのはは家を飛び出した。向かうのは、夢で見たあの場所。少年が必死に異形を押し留めてくれている、あの場所だった。
『……君は、誰?』
「高町なのは。貴方の声が、聞こえたの。だから力を貸すよ。お名前を教えて、フェレットくん!」
「……ユーノ。僕の名前は、ユーノだよ。……お願い。力を貸してっ、なのは!!!」
「もちろん!」
月明かりの下。既にロボットも壊れ、木々の間に隠れるかのように倒れていたユーノ。そこに現れたのは、パジャマ姿の天使だった。
二人が出会ったその時、物語は始まった。
「なのは、これを!」
「なぁに、これ?」
なのはに渡されたのは、手に収まるようなサイズの赤い宝玉。
「戦う力。魔法の力を具現化する、君の相棒『レイジングハート』だよ。さぁ、僕の後に続いて、魔法の言葉を唱えるんだ!」
「うん、分かったよ!」
「「風は空に 星は天に 輝く光はこの腕に 不屈の心はこの胸にっ」」
「レイジングハートガンダム、セットアップ!!!」
「stand by ready.set up」
現れたのは、白色のボディに金色のカラーリングが施された、美しき人型兵器。レイジングハートガンダム。
「わわっ、なにこれ!?」
「なのは、これが『General purpose Utility Non-Discontinuity Augmentation Maneuvering weapon system』。つまり、全領域汎用連続増強機動兵器、ガンダム。レイジングハートガンダムの、真の姿だよ!」
コクピットの中に転送された二人。
「……負けない。負けられないんだ! 行くよ、レイジングハート」
『yes,master』
「凄い、これがなのはの本当の力」
驚きの声を漏らすユーノ。
そう、目覚めた真なる魔法少女の前に、敵などない!
「――全力全開っ、スターライトブレイカー!!!」
桃色の閃光が、黒色の異形を打ち倒す。けれど、残るジュエルシードはまだ数多く。
二人の戦いは、始まったばかり。
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主演:高町なのは。ユーノ・スクライア。
撮影場所:鳴海市
撮影協力:高町家一同。時空管理局。アースラ。
主題歌:JUST COMMUNICATION
※ネタです。ネタ。あはは。