宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫」対策で、適地不足や悪臭問題のために、殺処分に伴う牛や豚の埋却が難航している。全頭殺処分に向けたワクチン接種は進んでおり、事態の深刻化は必至。政府の現地対策本部(本部長・山田正彦農林水産副大臣)は23日、関係市町と打開策を協議したが、解決のめどは立っていない。
同県の22日現在のまとめでは、口蹄疫が確認された農場は7市町181カ所で、殺処分対象の家畜数は13万6265頭。このうち、埋却済み(用地確保分を含む)は90農場の計7万7500頭で、進ちょく率は57%にとどまる。
山田副大臣はこの日、川南町の内野宮正英町長に「(埋却地を借りた場合)5年間の地代相当分を一括して支払い、既に土地を購入した人にも(同等の)補償を検討する」と表明。公有地の活用も提案した。しかし町長は「それでは対象者の公平が保てない」として埋却地買い上げを求め、議論は平行線をたどった。
山田副大臣は記者団に「危険な畜舎がある。早く何とかしなければという思いがある」と危機感を強調した。一方、鳩山由紀夫首相は23日、宮崎県民に「ワクチン接種などは感染をこれ以上拡大させないという方針でお願いする。ぜひ理解と協力を」と訴える談話を発表した。接種率は同日で50%を超え、作業は4日間でほぼ終了の見込み。
=2010/05/24付 西日本新聞朝刊=