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所長
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Military Analyst

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日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.05.24

 経済団体代表団ら ”振興策リンク”をけん制 首相に「県内移設は困難」を伝達 

カテゴリ沖縄問題 出典 琉球新報 5月24日 朝刊 
記事の概要
鳩山首相と那覇市内のホテルで23日に懇談した沖縄県の経済団体の代表者ら10人は、鳩山首相が県経済の現状説明を求めたが、「基地問題と振興策をリンクさせて受け止められたくない」として拒否し、「県内移設は難しい」と基地問題だけに絞って対話した。

知念県経済団体会議議長は冒頭の挨拶で、「経済問題を話し合う環境にない」と鳩山首相をけん制した。懇談会後、知念議長は「首相から経済振興策や工法の説明はなかった」と報道陣に話した。

国場県商工会議所連合会長は、報道陣に「(首相に)日米地位協定を含めた早急な見直しが必要と伝えた」と語った。

呉屋県建設産業団体連合会長は「今後、政府から振興策の話が出る可能性もあるが、基地問題と振興策は異次元のものだ」と述べた。

呉屋会長は、「県民の危険や苦労を売り渡すような卑劣な団体には成り下がりたくない」と話した。
コメント
これが全県民一致の移設反対のエネルギーである。どのような甘いアメでも「県民の危険や苦労を売り渡す卑劣な行為」と断罪する言葉である。

この沖縄の声を聞いて、「沖縄の者は頭を冷やせ」という言葉が異常に聞こえないか。沖縄に危険と苦労を強いることが異常ではないのか。

日本語には00貧乏という慣用語がある。器用貧乏、引っ越し貧乏、そして沖縄は基地貧乏である。

沖縄で経済発展に必要な用地が、米軍基地に奪われて健全な経済発展できないからである。沖縄県の所得は全国都道府県で最も少ない。逆に失業率は最も高い。

もはや一時的で局地的な振興策では、沖縄の経済発展ができないことを県民が気がついたのである。

また日本のために沖縄に海兵隊の基地が必要という話も、実はいい加減なもので、最近は海兵隊の抑止力という”張り子の虎”まで出して補強していることに気がついた。

さらにである。本日、ゲーツ国防長官に報告に行った北沢防衛相は、海兵隊の辺野古新基地を自衛隊が共有して守ると”お土産”を持参した。

アメリカの同意を得るために、海兵隊に自衛隊を差し出した。

自衛隊が海兵隊と共同訓練したり、互いに交流することとは次元が違うことなのである。そのあたりの区別がつかないまま、この”お土産”をゲーツ国防長官に差し出すという。

これでは小泉元首相がブッシュ前大統領に自衛隊のイラク派遣を差し出したのと同じことではないか。政権交代の意味がない。

これからは沖縄の人の毅然とした対応を学ぶべきである。国家が毅然とした政治や外交を忘れれば、亡国につながることを歴史が証明している。
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