3月26日に沈没事件発生後、犠牲者の遺体収容と事件の原因調査に集中してきたが、これからは北朝鮮の挑発に対する本格的な対応局面に入ることを国内外に示した形だ。
李大統領が明らかにした対北朝鮮制裁と対応策は、以前の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権や金大中(キム・デジュン)政権では想像もできないほど強力な水準だ。
まず、李大統領は北朝鮮の追加的な軍事挑発に対しては即刻武力で対応すると宣言した。これは、▼北朝鮮の追加挑発と韓国に対する威嚇に先制的に対応する安保体制構築▼北朝鮮が領海・領空・領土を侵犯した場合は即座に自衛権発動▼南北経済協力と対北朝鮮支援は相互の政治・軍事的信頼の構築と連携して考慮する――との原則を盛り込んだ「積極的抑制」の概念を対北朝鮮基調に導入したものだ。
これに基づき、李大統領は一部の人道的支援を除く南北経済協力事業と対北朝鮮支援を中断し、南北海運合意書で認められている韓国海域での北朝鮮船舶の通行も完全に禁じるとくぎを刺した。開城工業団地事業は直ちには中断しないものの、ひとまず運営を縮小し、今後は状況に合わせて追加措置を検討する方針だという。
また、李大統領は「天安」攻撃に対する北朝鮮政府の公式謝罪と関係者の処罰を促したほか、この問題を国連安全保障理事会に提起する計画を明らかにした。
こうした強力な対応は過去10年余りにわたる対北朝鮮基調が、沈没事件を機に歴史的な転換期を迎えたことを意味する。いわゆる「太陽政策」に象徴される北朝鮮に対する包容政策は同事件を機に大きく変化せざるを得ないという点を明確に示したといえる。
李大統領が談話の冒頭で、朝鮮半島の情勢が重大な転換点に差し掛かっていると述べたのは、こうしたパラダイムの転換を意味するというのが青瓦台(大統領府)の説明だ。李大統領は、この文章を直接入れたほど、今回の事態について大きな歴史的意味を与えているという。青瓦台の李東官(イ・ドングァン)広報(弘報)首席秘書官は、北朝鮮も変わり、韓国も今後の対応に変化があるという点を端的に象徴したものだと説明した。
李大統領が北朝鮮政権に対し「変化」を注文したのも目を引く。
金正日(キム・ジョンイル)総書記について直接触れる代わりに、「北朝鮮政権」という表現を使ったのは、金総書記と金総書記の三男・ジョンウン氏、そして軍部の総称をする意味があるという。
特に、何が北朝鮮の政権と住民の生活のためになるのか現実を直視し、勇気ある決断を下すときだと述べた部分は、核廃棄の約束を守ることで国際社会から認められ支援を受け、住民の疲弊した生活を改善するよう促す意味があると、李首席秘書官は説明した。
李大統領は最後に国民の安保意識の向上と国民統合を注文した。国内の理念的葛藤(かっとう)対する懸念を示し、安保分野では国論が割れてはならないと強調した。