「総理は約束を守れ」「裏切りは許さない」―。基地の県内移設に反対する県民会議が呼び掛けた抗議集会には知事との会談前から県庁周辺に続々と人の列ができ、約1000人(主催者発表)が参加。鳩山由紀夫首相の「辺野古」表明に怒りの声を上げた。
与勝海上基地建設計画に反対するうるま市民協議会のメンバー約50人は「沖縄は日本の軍事植民地ではない」と書かれた横断幕を持った。共同代表の我如古盛治さん(76)は「(最低でも県外という)あの言葉は何だったのか。沖縄を軽く見ている。うるまも辺野古も、海から見れば目の前だ。被害は全県に及ぶ」と県外移設を求めていく考えを強調した。
普天間爆音訴訟団の知念吉男副団長は「県民の支持を得ていない県内移設が実現できるはずがなく、普天間の閉鎖・返還がさらに遠のき、市民も爆音にさらされ続ける。復帰から38年たった今も米軍施政下と同じ苦しみが続いていることを、政府はどう受け止めているのか」と批判した。
1960年のアイゼンハワー米大統領来沖時にも抗議に参加したという源河朝徳さん(68)=読谷村=は「政府はいつも沖縄に基地を押しつけてきた。基地は一度つくられると、撤去は難しくなる。だからこそ今、県内移設に反対しないといけない。知事は党派の代表ではなく、県民の代表としてはっきり県内移設反対と言うべきだ」と話した。
沖縄市から来た32歳の女性=アルバイト=は「移設されれば沖縄の自然や命、生活も破壊される。民主党に票を入れてしまった者の責任として抗議に来た。県内移設は絶対受け入れられない」と唇をかみしめた。
抗議の人たちを避けるかのように、猛スピードで走り去る鳩山首相の乗った車に「基地の押しつけは許さない」というシュプレヒコールが響いた。
元海兵隊員「抑止力ない」
元米海兵隊員の高梨公利さん(38)のトークライブ(同実行委主催)が23日、那覇市の沖縄大学で開かれ、4年間の軍隊時代の経験に基づいた、抑止力の無効性などを指摘した。
会場との一問一答形式を中心としたライブでは、「海兵隊の日常や感覚」や「必要性はあるのか」などの質問が相次いだ。「海兵隊は抑止力か」という質問に対し、高梨さんは「世界中で戦争・紛争が起きている現状から考えれば、抑止力はない。むしろ米国は近年、自ら戦争を仕掛けている」とはっきりと答えた。
部隊の分割移転についても自身の経験から「米ノースカロライナ州では2時間かけてヘリ基地へ移動した。歩兵部隊と航空部隊の分割は、沖縄と九州程度の距離であれば十分に可能」と述べた。
海兵隊時代の経験を講話するのは初めてという。