哨戒艦沈没:民主党、ついに北朝鮮に言及

「北朝鮮が潔白を証明するには、潜水艦の機動状況を公開すべき」

 「北朝鮮の潜水艦が韓国軍哨戒艦『天安』を沈没させた」と合同調査団が発表した後も、野党・民主党は北朝鮮に対して口を閉ざしてきたが、22日にはついに北朝鮮に対して批判的な立場を示した。現政権の安全保障における無能さが主な攻撃対象だという主張に変わりはないが、その攻撃の一部を北朝鮮にも向け始めた格好だ。

 同党の禹相虎(ウ・サンホ)報道官は22日、天安沈没事故に対する公式の立場について2回目の発表を行った。しかしその内容と雰囲気は、これまでとはかなり異なるものだった。第一に、「北朝鮮は南北間の緊張を高める発言を直ちに中断せよ」と求めたことだ。具体的には「20日に北朝鮮の国防委員会、21日には朝鮮労働党傘下の祖国平和統一委員会が強行な声明を発表したが、これらは非常に不適切なものだ。戦争状況について云々するような発言は自制すべきだ」と訴えた。禹報道官はさらに、「北朝鮮は天安沈没事故と何の関係もないと主張するのであれば、(天安が沈没した)3月26日前後の(北朝鮮)潜水艦の機動状況を公開すべきだ。韓国に検閲団を派遣すると主張するほど強固な考えを持っているのであれば、国際社会が認めるに値する潔白な根拠を提示すべきだ」と主張した。

 禹報道官は「李明博(イ・ミョンバク)政権と鄭夢準(チョン・モンジュン)ハンナラ党代表は、安全保障面での無能さの責任をこれ以上野党に押しつけるべきではない。南北当局は緊張を高めるような行為をできるだけ自制し、軍事衝突に至るような状況を作り出してはならない」と述べた。

 これは、今月20日に民主党が表明した最初の公式声明とは大きくかけ離れたものだ。民主党は当時、「大統領の謝罪、内閣の総辞職、軍責任者に対する軍事裁判、国会次元での真相究明」など、韓国政府に対する批判や要求を羅列する一方、北朝鮮に対しては一言も言及しなかった。その上で、「南北のどちらも問題解決に向けた努力を行っていない」(禹報道官)という形で南北双方を批判してきた。ところが今回は間接的ではあるが、北朝鮮に対する批判的な内容に言及したのだ。北朝鮮をかばうような印象をこれ以上与え続ければ、今回の統一地方選挙に悪影響が及ぶというリスクと、国民の間で安全保障に対する不安が高まっているという実情などが作用しているとみられる。

 丁世均(チョン・セギュン)代表も22日、宋永吉(ソン・ヨンギル)仁川市長候補の応援演説で、北朝鮮に対して口を開いた。丁代表は、「南北の緊張は韓民族にとってプラスにならない。北朝鮮は南北の緊張を高めるような過激な発言を中断せよ」と述べた。丁代表が公式の場で、天安沈没事故をめぐり北朝鮮に批判的な発言を行ったのは、この日が初めてだ。その一方で丁代表は、南北双方の政府に向けて「南北間の緊張が高まれば、韓国経済は困難な状況を迎える。南北双方とも緊張を高める一切の行為を自制すべきだ」と要求した。

崔宰赫(チェ・ジェヒョク)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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