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犬・猫の細菌で感染症、死亡例も 厚労省が注意喚起へ

2010年5月24日5時50分

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 犬や猫の口の中にいる細菌に、2002年から14人が感染、発症し、うち6人が死亡していることが、国立感染症研究所のまとめでわかった。「カプノサイトファーガ感染症」と呼ばれるが、実態がよくわかっていない。見逃されている患者も多いとみられ、厚生労働省は24日、関係機関に文書で注意を促す。

 この細菌には、ひとが犬や猫にかまれたり、ひっかかれたり、傷口をなめられたりすると、極めてまれに感染、発熱や腹痛、吐き気などの症状が出る。発症すると血圧が急に下がり、血中で菌が増え、敗血症で亡くなることがある。高齢で免疫機能が低下した人、ステロイド剤で膠原(こうげん)病や腎炎などの治療をしている人などは注意が必要だ。抗生剤で治療できる。欧米を中心に世界で約250人の患者が報告されている。

 感染研の鈴木道雄主任研究官らが調査すると、02年以降、国内でも14人が発症、6人が死亡していた。14人のうち6人は持病がなかった。年齢は40〜90代で平均は約65歳だった。

 04〜07年の調べで、この感染症の原因菌が、自治体に引き取られた犬325匹の74%、猫115匹の57%から見つかった。

 ただ、感染力はかなり弱く、犬と猫をさわった後はよく手を洗い、口移しでえさを与えるなどしなければ、まず感染の心配はない。かまれるなどして、発熱した場合、医師に相談することも必要だ。

 亀田総合病院(千葉県鴨川市)の総合診療・感染症科部長の細川直登さんの経験では、新聞配達先の家の飼い犬にかまれた50代の男性が、3日後に病院に運ばれた。持病はなかったが、ショック症状で生命が危ぶまれるほどだった。聞き取りで犬にかまれたことがわかったので、抗生剤を投与し、血液を詳しく調べると菌が見つかった。患者は治療で回復したという。

 細川さんは「診断がつけば、必要以上に恐れるような病気ではない。犬にかまれたり猫にひっかかれたりしたら、体調が悪化していないか注意して欲しい」と話している。(熊井洋美)

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