ネット対応サービスを次々に打ち出す日本の新聞社。ネット有料化が進む一方で、高すぎる人件費など収益構造の改善も求められている。



 経営悪化に苦しむ新聞社が、ネット対応に活路を見出そうとしている。毎日新聞社は、6月1日にTwitterと連動した日刊タブロイド紙「MAINICHI RT」を創刊する。

「MAINICHI RT」は紙版の宅配紙で、Twitterで集められた意見を誌面構成などに反映させていくものになるという。新聞購読者の高齢化が進む中、ネットを利用する若い年代を取り込む考えだ。毎日新聞社では、1990年代から有料メールニュース分野などに参入。いち早くネット対応を行ってきた。しかし、それでも収益構造は改善されず、試行錯誤が続いている。

 一方で、ネット版にも新たな動きが出ている。長らく、新聞社のネット版では、基本的に記事は無料配信されてきた。最近は、ネット版の記事を有料化する動きが活発になっている。

 ネット有料化の流れは、アメリカで先に大きく動いた。アメリカでは、ここ数年で新聞廃刊が相次いでおり、生き残った新聞社は、ネットでの売上を目指す路線に移行しつつある。

 ウォール・ストリート・ジャーナルなどを擁するニューズ・コーポレーションのルパート・マードック会長も、有料化に方針転換。有料ネット会員を順調に増やしたウォール・ストリート・ジャーナルは、紙版とネット版をあわせてアメリカでの発行部数トップに立った。

 これに他社も追随する形で、たとえばニューヨーク・タイムズは、2011年から有料化する予定だ。ウォール・ストリート・ジャーナルでは、一部の記事が有料になっているが、イギリスのフィナンシャル・タイムズでは、別の手法が取り入れられている。ユーザーが閲覧できる記事数が毎月制限されていて、上限を超えて記事を読みたい場合に課金される仕組みだ。フィナンシャル・タイムズの有料ネット版も好調である。

 日本経済新聞社も、3月から有料の「日経新聞電子版」を開始して話題となった。産経新聞も現在、iPhone向けに朝刊を無料提供しているが、有料化を検討しているとされる。

 新聞社の経営が悪化したのは、販売部数減や広告収入減など売上面での苦境がある一方で、高すぎる人件費も原因と言われている。特に日本の新聞社では、人件費の高さが際だっている。

 大手新聞社では、これまで社員の厚遇で知られてきたが、取材費などの経費削減はもちろんのこと、ついに希望退職も募るようになっている。ネット対応だけでなく、リストラにもさらに本格的に取り組めるかが、収益構造改善のカギとなりそうだ。

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