須賀原洋行さんのブログのご意見拝読しました。/その3

須賀原さま。やり取りが継続されることは双方気にせずおきましょう。
拝読しました。

私の本意が伝わっていない」とご心配のようですが、今度はちゃんと、おっしゃる本意は伝わっていると思います。
大事な所の本意は伝わっていますが、その須賀原さんのお考えに、多くの点で私は同意できない、という事をお返しします。
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追記/
議論としては前回までのやり取りより後戻りしたと感じています。ご覧になる方も新鮮味は乏しいのではないかと思います。文末にそのエクスキューズも書き足します。
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承前/佐藤秀峰さんの質問コーナーへの疑問(須賀原洋行さんのブログ)

承前2/須賀原洋行さんのブログのご意見拝読しました。(一色より須賀原さんへの意見)

承前3/一色登希彦さんからご意見をいただいた(須賀原さんからのお返事)

承前4/須賀原洋行さんのブログのご意見拝読しました。/その2(一色より須賀原さんへ再度)(須賀原さんより再度)

承前5/一色登希彦さんとのやり取り2回目(須賀原さんより再度)


青字の引用にお返しします。

で、議論だが、一色さんもおっしゃっている通り、双方、おおむね主張は出尽くしていると思うのだが、一色さんの追記の部分でまだ私の本意が伝わっていないところがあるので書いておこうと思う。
いい具合に一色さんが収束して下さっているのに、さらに書いてしまうのが私のKYなところなのだが、見せかけの融和はもっとイヤなので。
(以下、引用部は青字。)
(←一色註/赤字にします↓)

ただ同時に「漫画onWeb」というものが、須賀原さんには申しわけないですが佐藤さんの「感情」を抜いてはやはり存在しえなかったと思います。
ですので佐藤さんに「感情を抜きにしてやってくれ」と我々が求めるのは酷だと自分は考えます。
それでも、読者さんお客さんに向けての誠意は佐藤さんは保っていますし、「漫画onWeb」の佇まい自体も決して「感情的」ではありません。


私はむしろ、佐藤さんがご自身の感情を一般読者にも明白に個人的感情としてサイト上で吐露していたのなら、編集者(直接の当事者はともかく)も私も不快になったり参加を怖くなったりしなかったと思います。

↑漫画家が、一般読者さんに、表現以下の露出の仕方で編集者個人(名指しに近いでしょうね)への個人的感情を公的な場所で吐露するほど、見苦しくて無意味なことはありません。
しかもそれが、「(須賀原さんや)当事者以外の多くの編集者を不快にさせないため」の配慮でそのようなやり方に及ぶなどして、佐藤さんに何が残るのでしょうか?

「佐藤さん、お気の毒」で済んでいたはず。

↑「佐藤さん、お気の毒」で済まされたら、佐藤さんはたまったものではありません。

しかし、佐藤さんは一見、一般読者達にはさほど感情的には見えない表現でいかにも「業界の実態」みたいなものを暴露マンガや日記やツイッターで語ります。

↑そうです。見事だと思います。すぐれた漫画家さんのお仕事ですから。併せて日記やツイッターも「漫画家」としてのアカウントですから。

私やまともな編集者から見ると、

↑「まともな編集者」とはなんでしょうか?「一般読者」というところまでは不特定多数の名詞でいいと思いますが、「まともな編集者」というフィクショナルな人物を登場させる文脈ではないと思います。
佐藤さんも「あいつら」と言って、編集者を十把ひとからげにした表現をなさったりもします。それもフィクショナルな設定ではあります。
それは「仮想敵」を設定してそこに挑む仕掛けを佐藤さんが踏まえていられるからですが、須賀原さんが同様にしかも敵ではない「仮想味方」を設定して、それは設定ですから実際の応援があり得ない可能性が高いのですが、それで大丈夫ですか?

佐藤さんが個人的に体験したごく一部の編集者との関係における個人的イザコザやそれによって持つに至った個人的感情に過ぎないものを、(一色さんが使われる言葉をお借りすると)「一般化」して「(客観的な立場からの)告発」の形を取るのです。

↑おっしゃる通りです。「個人的感情に過ぎないものを一般化する」、これは漫画家の技能の、最もすぐれたことのひとつですし。佐藤さんは漫画で(文章でもですが)それを行い、世に出し、その報い(報酬や批判)を佐藤さんの責任で受け止めています。

多くの一般読者は、「編集者ってあんなひどい態度でマンガ家に接してるんだ」「出版社ってマンガ家から搾取しまくりなんだ」と思うでしょう。

↑おっしゃる通りです。佐藤さんの表現はすぐれていますから、そのような作用が生じると思います。

「出版業界で描いていてもマンガ家は自分の儲けを中抜きされ恒常的に搾取され続けるだけ、編集者は自分の心を疲弊させるだけの存在、だから個人サイトを立ち上げたんだ、やっと本当の自由を手に入れた、もはや紙の出版社の終わりの始まりだ」という空気を作り、それを漫画onWebの駆動エネルギーにしているように私には見えるのです。

↑おっしゃる通りです。自分にも佐藤さんはそのようなさっているように思えます。

これはとばっちりを食う多くの編集者、マンガ家にとっては迷惑な話です。

↑須賀原さんおひとりが少なくとも「迷惑な話」とお感じになっているのは分かりました。見解として問題ありません。
他の、(「編集者」もそうですが)「多くのマンガ家」とは、どういった方々でしょうか?
須賀原さんはどのような方を代表なさって、このような言い回しに及ぶのでしょうか?

「だってみんな佐藤さんのことを迷惑だっていってますよ」という話を沢山見聞きしている、ということでしょうか?

(実際のマンガ出版業界についての私の見解はこれまでにこのブログで何回も書いてきたので今回は省きます。未読の方は「マンガ業界」や「仕事」のカテゴリーをご覧下さい。)

↑皆さんどうぞご覧ください。示唆に富んでいます。

だから、佐藤さんが「一般化」しようとしたことに対して、それとは別の私の見方をぶつけることで「相対化」されるかもしれないという期待が私にはあります。

↑難しいと思います。須賀原さんは「相対化」への備えが出来ているように見えません。その「期待」はなかなか叶わず、徒労感の方が多いのではないかとご心配申し上げます。

上記に書いた通り、佐藤さんは個人で立っていて、その称賛と非難を自分の責任範囲で負っています。
須賀原さんにおいては、上で指摘したように、しばしば「多くの編集者、マンガ家が」という主語を持ってきて、「私は」と混同し、主語が不明瞭になることがあります。
先ほど「仮想味方」と書いたことです。

漫画を愛され、漫画業界を愛される故のご主張だということはとてもよくわかります。
皮肉ではありません。自分に多く身に覚えのあることだからです。
けれど「背負ったつもりのその人たち(仮想味方)」は、必ずしも須賀原さんを応援してはくれません。
何もしてくれないことも多いです。

私が、佐藤秀峰さんに寄ったように見える見解を述べていることもあるだろうと思います。
けれど、佐藤さんは何もしてくれません。それと同じことです。
私の場合は佐藤さんが何もしてくれないだけですが、須賀原さんにおいては「まともな編集者」や「多くのマンガ家」が何もしてくれないことになってしまいます。

編集者/出版社を信じ、あくまでも良好な関係を保つことが大切とおっしゃるなら、たとえツイッターのひとつのツイートでも、出版社への苦言のようなものを残されない方が良いです。直接、当の相手に申し述べるべきです。
ツイッターもブログも、非公開でない以上、誰に見られても文句は言えません。そこに苦言が残れば、「愚痴」になります。
「徒労感がおありではないですか」とご心配するのはそういうことを含みます。

本題をそれて踏み込んだ事を申したかもしれません。ご容赦の程。

いずれにしても、「佐藤秀峰」という「毒」への向き合い方をお考えになるなら、もう少しだけ、ご自身の「主語」が相手の「主語」と同じ立ち方をしているか検証されることをおすすめします。
繰り返しますが、これ、私自身にまったく同じように言いきかせていることです。
あの人に関わることは、命に関わります。
徒労感が生じた時の安全弁は確保しておいた方が良いと思います。

佐藤さんに対して、 「安心して参加したいからアナタ我慢して紳士でいなさい」と求めることは、僕は出来ません。

公的な告発、義憤ならばそれでいいと思いますが……。
私から見れば私怨にしか見えませんので、努めて謙虚にし、周りに悟られないような形で私怨は心の中のエネルギーにしといたほうがいいのにと思います。

↑「そんな程度のエネルギーが何を産みますかね?」というが私の意見です。
また、「漫画onWeb」は(残念ながら?)佐藤さんの個人的感情/私怨と不可分、というのが私の意見であることは先に述べました。
ですので須賀原さんは反論のように私から見れば私怨にしか見えませんとおっしゃっていますが、私にもまあそのように見えます。

(ところで「私から見れば私怨にしか見えません」とお書きになっていますが、これは冒頭にお書きになったこと「佐藤さんがご自身の感情を一般読者にも明白に個人的感情としてサイト上で吐露していたのなら、編集者(略)も私も不快になったり参加を怖くなったりしなかったと思います。」とは正反対のことをおっしゃっているように見えるのですが。正しく読み取れていませんか?)

私怨に関しては、心の中だけのエネルギーにしておくかどうかは、佐藤さんの自由です。

私が申し上げているのは、その「助言/意見に思える須賀原さんのお言葉、佐藤さんに届いていない感じがします。徒労感に繋がっていませんか?」という心配です。

ブログやツイッターは、基本的に「言いっ放しで(手応え無く)終わってもしかたない」ものです。しかも衆人環視です。反響があればもうけもの、くらいのものです。
須賀原さんのご意見は、手応え無く終わって、須賀原さんの気が済むようには(済んでいるようには)思えないのです。
少なくとも佐藤さんの目を見て(またはそれに類するやり方で)お話しなさったほうが良いことばかりです。

私にこのように言葉を連ねて下さっているように。

ブログやツイッターでも「直接佐藤さんに向ける」やり方はありますが、須賀原さんはそれをなさっていません。

「ご心配なく」というお返事が返ってくるであろうことはよくわかります。
だから心配なのですが。

そもそも、佐藤さんが一番望んでおられることは、より多くのマンガ家を集めてサイトが大評判となり大繁盛することのはず。

↑・・・かどうかは、佐藤さんに訊いてみないとわかりませんが。

それさえ実現すれば、私怨なんか「そういえばそんな気持ちの時があったなあ」で終わってしまうはず。

↑他者の傷の深さや度合いを、簡単に見積もらないほうが良いと思います。

今やっているような言動は、ネットで話題になって一時的にサイトアクセスを増やしたり、一時的なストレス解消にはなっても、結局は「人を呪えば穴二つ」に陥るだけだと思います。
これで私の方は今回のやりとりを終わりにいたします。
もちろん、一色さんのさらなる反論を妨げるものではありません。
私の方はこれ以上は書かず、あとは読んで下さっている方々それぞれの判断にお任せします。


↑ありがとうございます。
揚げ足取りのようになってしまっていますかね?ご容赦願います。

冒頭に書いた通り、須賀原さんは「本意が伝わっていないところがある」とおっしゃっていましたが、私は、今回は本意は誤解なく賜ったように思っています。

くどいようでうが、須賀原さんがご自身で書いてらっしゃるように、少なくともこれくらいのやりとりをしないと、伝えたい相手に伝わらない、ということを私とのやり取りでお気付きになられたのなら、佐藤さん相手においても同じことが言えます。

各論においては、ごらんのように「その通りです」と申し上げることが多かったです。意は汲めていると思います。
本意は理解申し上げた上で、同意できないことが多々あり、その洗い出しをさせていただきました。

「引用にツッコミ方式」はあまり賢くなく見えるやり方で申しわけありませんが、わかりにくくはないと思います。

ありがとうございました。

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追記/
冒頭に「議論としては前回までのやり取りより後戻りした」と書いたのは、今回は須賀原さんのいくつかの「考え方」そのものにご意見申し上げたい以上のことがあまりなかったためです。

読み返して、「なんで面白くないんだろ?」と少し考え、追記させていただこうと思いました。

つまり、今回須賀原さんが書かれたことの多くは、前回の私のエントリー、特に追記で、私がすでに了解したと申し上げたこと(「このままじゃ「漫画onWeb」に参加するなどは怖い」そしてそれは主に「佐藤さんの安心できぬ振る舞いに原因がある」というご主旨)以上のことが書かれていなかったように思う点です。

前回の追記等ではその須賀原さんの「真意」を理解申し上げたことを踏まえて、私は、

「わかるが、佐藤さんに振る舞いを変えてもらうのは無理である」
「この思いは、佐藤さんにではなく、出版社に「他意はない」と申し上げたらどうか?」
「「漫画onWeb」以外に、誰か別の人が作る同じシステムでケチのつかないまっさらなモノに期待されるとよいのでは?」
ということを書き添えました。

そのあたりに関するお答えはいただけないまま(いただけないのは構わないのですが)、須賀原さんより、
「佐藤さんの態度に問題アリだと思っている、その私の本意がまだ伝わっていない」という主旨の最後のお返事をいただき、私が、
「いえ、ですからそこにこだわっておいでのその考え方が・・・(あの人直んないんスよ諦めませんか?)」となってしまったのだと思います。
だってその後に添えて申し上げたいことがあるとしたら、前段の、

「わかるが、佐藤さんに振る舞いを変えてもらうのは無理である」・・・・・
「この思いは、佐藤さんにではなく、出版社に「他意はない」と申し上げたらどうか?」・・・・・
「「漫画onWeb」以外に、誰か別の人が作る同じシステムでケチのつかないまっさらなモノに期待されるとよいのでは?」・・・・・

ということしかなく、これは堂々巡りだ、と脳が始皇帝氏じゃない思考停止したと思われます。

議論としては後戻りしたと思うのは、そういうことです。

これは須賀原さんにというよりは、このような形でブログに書いて上げてしまった以上、読んで下さっている方へのエクスキューズのようなものになります。

自分がこの「後戻り」に気付かず、須賀原さんの文章に「引用ツッコミ」の怠慢ですむだろうと思ったのが、見返すと、やり取りがつまらなくなってしまった要因に思います。

お詫びというのもおかしいですが、そのあたりの非が、自分の方にあると考えますこと申し添えておきます。
ごめんねみんな、つまんなくなっちゃった!・・・

不慣れなことで、やってみないとわかりません。クリエイティヴィティーを保持した議論を維持するって、難しいですね。生ディベートとかできる人は、本当にすごいと思います。

それでは
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21:08 | ウェブコミックもろもろ
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話が前後してしまいますが、ちょっと残しておきたかったので。 佐藤秀峰さんの「漫画貧乏」 http://mangaonweb.com/creatorOCComicDetail.do?no=50&cn=1 があります。原稿料のところは非常にうなづけ...
| BTS Develop(仮) | 2010.05.06 14:37 |