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技術経営

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延期されていたトヨタ攻略作戦の再開か?

新ベンチャー革命2010年1月29日 No.70

タイトル: 延期されていたトヨタ攻略作戦の再開か?

1.トヨタ危うし:空前絶後の巨大リコール勃発

日本を代表するものづくりのグローバル企業・トヨタ自動車が米国市場にて500万台を超える空前絶後の巨大リコールに見舞われています。このリコールは米国にとどまらず欧州や中国にも飛び火する模様です。大変なことになっています。

 さて筆者は2003年『日米技術覇権戦争』(光文社)を上梓しましたが、その当時から、トヨタの米国市場でのトラブル勃発を非常に懸念していました。本著にて持論の米国覇権産業論を展開していますが、日本の自動車産業に対して、専守防衛論を唱えています。米国市場を相手にする日本企業は常に、米国内に潜む反日主義者から敵視されており、彼らは本音では日本企業を米国市場から一掃したいと考えているはずです。米国市場で日本企業は決して図に乗ってはいけないのです。

このことは、話を日本に置き換えればよく理解できます。日本にとって自動車産業は製造業の要です。そこに中国や韓国の後発メーカーが参入してきて、トヨタやホンダが競争に敗れて、現在のGMのように経営破綻したら日本国民はどう思うでしょうか。日本にも反中国派や反韓国派の日本人が少なからずいますが、彼らは大騒ぎするでしょう。同様に強烈な反日運動は80年代半ば、日米貿易摩擦が激化した時代、米国においてすでに勃発しています。当時、米国のテレビは連日、米国で走る日本車をハンマーで叩き壊すニュースを繰り返し流しました。ちなみに筆者は80年代末、日本の経済同友会の依頼で、米国社会の対日観を調査した経験があります。

2.2000年代、米国における日本製品バッシング沈静化の不思議

80年代、90年代、米国の激しい日本製品バッシングが2000年代に入り、不思議にも沈静化しました。2000年代初頭、米国は空前の好景気時代を迎えました。そのせいか、米国市場におけるトヨタ車を含む日本製品への反発は影を潜めて今日に至っています。それが昨今、変化しています。そのきっかけは2009年6月、GMが連邦破産法第11条を申請したニュースです。それでも、米国民は比較的冷静であり、GM破綻を日本車メーカーのせいにして日本車排斥運動などは一切、起きていません。しかしながら、米国に潜む一部の反日主義者は本音で、GM破綻は日本車の米国流通のせいであるとみなしているはずです。その意味で、この10年、米国で反日感情が表面化しなかったのは奇跡であり、実に不気味でもありました。

3.米国覇権産業論からのトヨタ逆境分析

筆者の米国覇権産業論に照らせば、いかなる日本企業も、米国市場において、米国の競争相手の市場シェアを絶対に超えてはならないのです。もし、そのタブーを冒したら、米国覇権主義者が必ず行動を起こします。彼らは常に、自分が地球上で最強でなければ気がすまないからです。トヨタもそのことを承知で、米国シェアがGMを超えないようこれまで自己制御してきましたが、2009年1月、ついにGMを抜いて堂々、販売台数世界一の自動車メーカーになってしまったのです。米国覇権主義者の中の反日派が、この事実を座視するはずがありません。この時点からトヨタは米国覇権主義者の明確な攻略ターゲットになったはずです。"自分を追い越したものは必ず攻略する”という行動原理は米国覇権主義者の本能そのものです。トヨタ経営陣はそのことを重々、承知しています。この場合、トヨタは仮想敵日本の象徴として最優先狙撃ターゲットとなります。彼らは攻略ターゲットが複数あれば優先順位をつけ、順番に攻略していく習性をもっています。ホンダや日産ではなくNo.1のトヨタが第一ターゲットとして優先します。

4.日本の政権交代を機にトヨタ攻略作戦再開か

筆者は米国覇権産業論の視点から、米国市場にてもっとも成功している日本企業の代表としてトヨタ自動車をずっとウォッチしてきました。その経験から、今回の巨大リコール報道に触れて、"ついにキター!”という第一印象をもちました。

結論から言うと、米国車市場における米国覇権主義者のトヨタ攻略はすでに90年代末に仕掛けられたのですが、米国覇権主義者のボスのひとり、ジェイRF民主党上院議員の力を借りて、なんとかその攻略をかわした過去があります(注1、注2)。

ところが、トヨタを攻略ターゲットと決めた一部の反日派米国覇権主義者は、単に攻略作戦を延期したにすぎず、今回、日本の政権交代をきっかけに、彼らは作戦を再開したと分析できます。彼らのトヨタ攻略正当化ロジックはこうです、"トヨタはGMという米国の栄光のシンボルを破綻に追い込んだ、すなわちトヨタは米国の国益を侵した、したがってトヨタは攻略の対象である”。

米国覇権主義者にとって米国の国益を侵した対象は敵であり、敵を攻略するのに手段を選ばない、というのが彼ら独特のミッションクリティカル思想です(注3)。

さて、トヨタ攻略ミッションを負った一部の米国覇権主義者はなぜ、10年間、作戦実行を延期したのか、筆者の分析によれば、トヨタは小泉政権を支援して郵政民営化(米営化)に全社上げて協力したからだと思われます(注1、注2)。

ところが、周知のように2009年9月、日本国民の総意による政権交代によって、郵政米営化はすんでのところで食い止められたのです。こうなれば、米国覇権主義者にとってトヨタ攻略作戦実行を延期する大義は喪失してしまったのです。その結果、今日のトヨタは前代未聞の苦境に立たされていると分析できます。

今回の米国におけるトヨタのリコール被害は、グローバル日本企業にとっての有望市場がもはや米国市場ではないことを示唆しています。日本企業にとって新たな有望市場、それはいうまでもなく中国を含む東アジア市場でありBRICs市場でしょう。

5.米国市場に過度の依存は禁物

 日本の自動車業界やエレクトロニクス業界はこれまで米国市場に依存してきましたが、このトヨタの大被害をみるまでもなく、今後、疲弊しきった米国市場で高収益を挙げることは極めて困難です。ところで米国覇権主義者が最も嫌うこととは何でしょう。それは日本企業が米国民になんらかの製品を売りつけ、その利益を日本国民に還元して日本国民が潤うことです。このような状況を断固、阻止するため、小泉従米政権時代、彼らは米国債を日本に売りつけて、トヨタなどの日本企業が米国市場で得た利潤を奪還してきたのです。米国債を日本政府や日本の金融機関に強引に買わせる行動は、米国覇権主義者にとって米国の国益を守るミッションクリティカル行動なのです。

彼らのミッションクリティカル行動の実践によって、確かに日本の国富は米国に還流され、日本国民はこの10年、すっかり貧乏化してしまったのは確かです(注4)。

注1:本ブログNo.46『日本郵政役員にトヨタ奥田氏留任:レクサスが人質か』2009年11月22日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/3766810.html

注2:ベンチャー革命No.230『小泉シンクタンク:トヨタのスモールギフト』2007年5月13日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr230.htm

注3:本ブログNo.68『日本企業垂涎の的?:東京地検特捜部のミッションクリティカル思想』2010年1月24日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/7415984.html

注4:ベンチャー革命No.251『日本国民はなぜ、貧乏化しているのか』2008年1月4日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr251.htm

ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html

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トヨタ叩きの裏にはアメリカの国家戦略があった

エコカーで世界を一歩リードしてしまったトヨタが、新たなスタンダード(規格)を創る主導権を握ってしまえば、今後十数年はGMやクライスラーが危機を脱すきっかけが掴めなくなる。 現在の、アメリカ政府とマスコミがガッチリ組んだ日本車(トヨタ)叩きの背景には、この「新規格競争」の問題があると見た方がいいのではないか。… 続きを読む前にクリックで応援おねがい!    ↓         ↓         ↓   そんな事を、最近のニュースを見ながら漠然と考えていたが、るいネットにこんな投稿があり、「

2010/3/4(木) 午前 3:25 [ にほん民族解放戦線^o^ ]

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