地元と移設先共闘 宜野湾・名護市が声明

抑止力議論を要求

2010年5月17日 09時58分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録

 「普天間包囲行動」に参加し、共同声明を発表した伊波洋一宜野湾市長と稲嶺進名護市長は「県内移設を行わず、住民の安全・安心の保障を最優先に確立するべきだ」と米軍普天間飛行場の県内移設断念と沖縄の負担軽減を強く求めた。同飛行場を抱える宜野湾市と政府が有力な移設候補地として挙げる名護市の代表が、互いの手を取り、国外・県外移設に向けて連携していく姿勢をアピールした。

 「住民に被害を与え続ける普天間飛行場の代替施設の県内移設を断念すべきだ」「グアムやテニアンへの海兵隊移転計画を政府として検証し対米交渉に強く臨むべきだ」。両市長は、交互に声明文を読み上げ、わき起こった拍手に、互いの両手を固く結んで応えた。

 稲嶺市長の当選後から、名護市との取り組みを検討してきたという伊波市長は「一つの基地を返すのに一つ造るのは沖縄の負担軽減に結びつかない」と国外移設検討を政府に求める考えを強調。沖縄や国内に海兵隊の基地を残すことについて議論の必要性を訴えた。

 稲嶺市長は「普天間返還と辺野古への基地建設がイコールあるいはバーターであってはいけない」と危険性の除去と移設は別問題だと指摘。政府の対応について「民意を受け止めていると思えない状況が続いている」と述べ、23日にも予定される鳩山由紀夫首相の再来県について「5月4日に会った時に民意を届けた。沖縄も政府の環境も変わっておらず、おいでになるのは意味がないことだと思う」との見解を示した。

 発表に先立って開かれた普天間基地包囲行動の共同代表による会見には、公務で抜けた上間明西原町長を除く中部の6市町村長が出席。沖縄の過重な基地負担を訴え、日米地位協定の改定などを含め、引き続き連携していく考えを示した。

伊波・稲嶺両市長 一問一答
情報共有し行動 伊波市長
再来県は無意味 稲嶺市長

 ―両市は今後どのような対応をとるのか。

 伊波洋一宜野湾市長 これまで調査した普天間問題や米国の調査資料などの情報を名護市に提供しながら、認識を共有できる環境をつくっていきたい。

 稲嶺進名護市長 宜野湾市は米国のアセス情報などを持っている。情報をいただく中で一緒に行動できる部分はやっていきたい。

 ―政府の移設先の検討状況への見解は。

 伊波 一つの基地を返すのに一つの基地を造るのは沖縄の負担軽減とならない。政府が明らかにすべきは米軍再編でどの部隊がグアムに移り、どの部隊が残るのかということ。すべてを移設しなければならない議論に終始する限り、移設が国内的に受け入れられることはない。綿密な検討を加えた上で示されるべきだ。

 稲嶺 今なお県民の民意を受け止めているとは思えない。少なくとも県外と言って選挙を戦った政権は、それを実現することこそが県民の期待に応えることだ。

 ―全国へのメッセージは。

 稲嶺 市長選でも全国から応援をいただいた。これからも行動や思いを共にしたい。

 伊波 国内には130を超える米軍施設があり、ドイツの140に次いで2番目に多い。違いは、ヨーロッパではホスト国が米軍施設をコントロールするが、日本では米軍まかせ。普天間の危険性は放置されたままで、日本は国として米軍を受け入れる資格がない。日本がコントロールできる駐留のあり方は国民全体の課題だ。

 ―23日にも首相が再来県するといわれている。

 稲嶺 5月4日の来県時に民意はしっかり届けた。あれ以来、情勢も民意も変わっていない。そういう中での鳩山首相の再来県に意味があるとは思えない。たぶん来られないでしょう。

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