【宜野湾】米軍普天間飛行場の無条件返還を求める「普天間基地包囲行動」(同実行委員会主催)が16日、宜野湾市で行われ、同飛行場の外周約13キロを“人間の鎖”で囲んだ。本島中部に大雨・洪水警報が出される中、約1万7000人(主催者発表)が参加。県内移設を軸に移設先見直しの最終調整を進める政府に、あらためて反対の意思を発信した。有力な移設先候補に挙げられている名護市の稲嶺進市長も参加し、地元の伊波洋一市長と共同で、県内移設断念と県民の基地負担軽減などを求める共同声明を出した。
市民団体が主導してきた同飛行場の包囲行動は、2005年に続き5年ぶり5回目。今回は初めて、宜野湾市をはじめとする中部7市町村の首長が共同代表に就任した。包囲行動後の会見で、伊波市長らは「これだけの雨にもかかわらず包囲が成功し、普天間の閉鎖・返還や県内移設反対を訴える県民の思いを内外に示せた」と意義を強調した。
稲嶺市長が加わって行われた共同声明発表で両市長は、「普天間の危険性除去と県内移設は別問題」「国土面積0・6%の沖縄に、県民の人権と環境を無視して新基地をつくるべきではない」などと訴えた。
包囲行動は午後2時から3回にわたり実施され、1回目は数カ所でつながらなかったものの、2回目以降は成功した。騒音の激しい地域の住民や米軍ヘリ墜落事故が起きた沖縄国際大学の関係者も参加し、手を取り合った。
15日に沖縄が本土復帰して満38年となったばかり。本土では米軍基地の削減が進んだが、沖縄にはいまも在日米軍専用施設の7割以上が置かれている。沖縄戦中に接収された普天間飛行場は現在、宜野湾市の面積の約25%を占める。
在日米軍再編に伴い、日米は06年、名護市辺野古沿岸部にV字型の滑走路を備えた代替施設建設で合意。昨年発足した新政権は見直し作業を進めたが、現在はくい打ち桟橋方式などに修正した上で辺野古に移設する案を最有力としている。