家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の問題で、宮崎県の東国原英夫知事が殺処分回避策を探っている県家畜改良事業団(高鍋町)の種牛49頭について、政府現地対策本部長の山田正彦農林水産副大臣は23日、「49頭は疑似患畜とみなされる。いかに宮崎の大事な財産といえ、民間でも種牛を持っている人がおり、示しがつかない」と拒絶する考えを述べた。
49頭は同事業団が緊急避難させたエース級種牛6頭に次ぐ存在。14日に同じ敷地内で感染を疑われる肥育牛が出たため殺処分が決まったが、県側は着手していなかった。
山田副大臣は「生きていると聞いたときは驚いた。(赤松広隆農相に)相談する余地はない」として、県側には殺処分すべきだと伝えていることを明らかにした。
東国原知事は22日、「49頭も(避難させた残り5頭とともに)何とか残したい。国と協議の余地はないだろうか。このままでは宮崎に種牛が1頭もいなくなり、日本の畜産に甚大な被害が及ぶ」と述べていた。
県によると、49頭は元気な状態という。この中には、将来のエース級の種牛とともに約22万頭の子牛を生み出した伝説の種牛「安平(やすひら)」も含まれている。県側からは「助けたい、という気持ちはあるが、一度疑似患畜とみなされた以上は厳しいかもしれない」とあきらめの声も出ている。
=2010/05/23 西日本新聞=