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【ドラニュース】


中田、ざんげ8失点完投

2010年5月23日 紙面から

西武−中日 3回裏2死一、三塁、ブラウンに中越えの3ランを打たれた中田賢=西武ドームで(由木直子撮影)

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 中田賢、苦い初完投−。22日の西武戦(西武ドーム)、中日先発の中田賢一投手(28)は8失点しながらも、一人で投げきった。今季3度目の先発で、先についたのは黒星。この日勝った巨人とのゲーム差は再び4に。巨人追撃も、竜反攻も、エースナンバーを背負う男の完全復活があってこそ−。

 ざんげの気持ちもあっただろう。敗色が濃厚となった試合で、中田賢が望んだのはマウンドに立ち続けることだった。3回に自ら招いたバント処理ミスを契機にブラウンの3ランなどで失った4点が重くのし掛かった終盤、投手陣を預かる森ヘッドコーチの問い掛けに「投げます」と続投を直訴。先発マウンドを任された男は、登板過多なリリーフ陣を休ませるべく、最後まで1人で投げ抜いた。

 「完投? 1人で投げるつもりでした。あの展開でリリーフに投げてもらうわけにはいかないです」。8イニング10安打8失点。8回に再びブラウン、そして細川に一発を浴びるなど最後はボロボロになりながらの131球の黒星完投。今季47試合目にして、これがチームで2度目の完投でもあった。

 開幕2戦目、3月27日の広島戦(ナゴヤドーム)に完封勝ちしたチェン以来、実に45試合ぶりだ。試合後の会見で「完投した。十分。何試合ぶりの完投だ? 最近なかっただろう。1人で投げきっただけで十分」と話した落合監督。内容についてのコメントはない。自軍のブルペンにダメージを残さなかったことに、完敗の中での救いを求めた。

 この日も示したように完投能力はある。さらに制球難から「暴れ馬」と呼ばれようが、その1球1球には、誰もが認める魅力がある。そして何より、今季これまで先発した2試合は、自身には勝敗がつかなかったものの、チームはいずれもサヨナラ勝ち。“勝利の女神”さえ、味方につけていた。

 そんな中田賢に、3度目の先発で初めてついたのが黒星。8イニング投げて、無失点だった5イニングはヒットさえ許していない。四球、ミスから崩れるのが中田賢なら、こちらもこの男のもう一つの顔。「それを、やっぱり(1試合の中で)続けないといけないです」。中田賢が自らに言い聞かせるようにこう言った。

 吉見、チェンとともに、巨人追撃には、なくてはならない右腕。右前腕痛で出遅れ、黒星から始まった2010年。中継ぎ陣を休ませただけの完投では寂しすぎる。竜のエースナンバーを受けついだ男が、今度こそ笑って最後までマウンドを守り抜く。 (中谷秀樹)

 

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