法務省は、婚姻届を出していない「事実婚」の親が子どもの出生届を出す際に、「嫡出でない子」と記載しなければ不受理としていた対応を改めた。「母の戸籍に入籍する」などと書けば受理する。「嫡出」という言葉が差別的という指摘を受け「嫡出でない子(婚外子)の母の心情に配慮した」という。
事実婚や未婚の母は出生届の「嫡出でない子」という欄にチェックを入れる。婚姻届を出している夫婦は「嫡出子」欄にチェックする。
戸籍法は、出生届について「嫡出子または嫡出でない子の別の記載をしなければならない」と定めており、親がこの記載を拒むと、受理しなかった。不受理で戸籍に記載されないと、住民票が作られなかったり、パスポートも取得できなかったりする。
法務省が3月、市町村に出した通知では「嫡出でない子」の欄にチェックを入れない場合でも、「その他」欄に、「母の氏を称する」「母の戸籍に入籍する」などと書けば受理することを認めた。
厚生労働省の2008年の人口動態統計では「嫡出でない子」は約2万3千人いる。不受理となった子どもの数は不明だ。法務省は、これまで不受理だった人も、改めて提出すれば受理する方針だ。
「なくそう戸籍と婚外子差別・交流会」代表の田中須美子さんは「差別解消に向けて一歩前進した」と話す。(杉原里美)