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日本最高齢の映画監督である新藤兼人監督(98)が現在、東京・調布市の日活撮影所で新作「一枚のハガキ」を撮影中だ。前作「石内尋常高等小学校 花は散れども」に続き、俳優・豊川悦司(48)、女優・大竹しのぶ(52)が出演する同作は、監督の戦争時の実体験をもとにしたもの。「戦争反対」をメッセージに掲げ、“最後の新作”に心血を注いでいる。
「ハイ、OK」。小さいながらもハッキリとした声。俳優を自らの近くに呼び寄せ、細かい演技指導をする新藤監督は、まもなく“大台”に手が届くとは思えないほど、強いオーラを放っていた。
新作「一枚のハガキ」の主人公・松山(豊川)は、監督自身がモデル。松山と、大竹演じる友子の夫で、戦死した友人・森川(六平直政)、2つの家族の崩壊を描いている。「兵士が1人死ねば、その後ろにある家族も玉砕するということを伝えたかった。戦史では、兵士がロボットみたいに『何人が死んだ』ということは書くけど、家族がバラバラになったという記事はない」。戦争への強い怒りを口にすると、新藤監督の声は、自然に大きくなった。
豊川、大竹をはじめ、キャストの多くは前作「石内―」に出演。監督の息子で、プロデューサーの次郎氏は「監督は、新しい人を使うのが怖いんですよ」と冗談めかして話したが、もちろんこれは強い信頼があってのものだ。「前作で豊川さんの腕のほどが、よく分かった。豊川さんじゃないと、大竹さんの相手になれないし、大竹さんもしっかりした相手じゃないと芝居が成り立たない。役者が、登場人物を左右することは多いから」と新藤監督。自らのシナリオを最大限に引き立てるキャストを選ぶことができたという。
折しも、世の中は沖縄の基地問題で揺れているが、新藤監督は政府の対応に苦言を呈した。「アメリカは戦略上、基地を置きたい。だから、沖縄に(土地を)返すと言うわけがない。(政府は)もっと討論をしっかりやるべきだった。それが僕は、もどかしい。自民党は自民党でそのこと(基地問題)よりも、(鳩山首相が)お母さんにお金をもらったのがどうこう言ってる。本当にヒドイな。この人たちは、本当に政治をやってるのかと思うよね」。一世紀近くを生き抜いてきた人から出たからこそ、その言葉は重い。
「今、僕は戦争で死んだ人の犠牲の上に立って生きてるわけ。98歳になって、もう終わりだからね。最後に、戦争の本質はこれだ、ということをやりたかった」と新藤監督。今月末から茨城でロケ撮影を行い、6月末にクランクアップ。来年の公開を予定している。
◆新藤 兼人(しんどう・かねと)1912年4月22日、広島県生まれ。98歳。新興キネマで美術担当後、故・溝口健二監督に師事。興亜映画を経て松竹大船撮影所へ。50年、松竹を退社し、独立プロ「近代映画協会」設立。51年「愛妻物語」で初監督。「裸の島」「裸の十九才」「午後の遺言状」「生きたい」でモスクワ国際映画祭の最高賞、批評家賞等受賞。97年文化功労者、2002年文化勲章受章。女優の故・乙羽信子さんは公私のパートナーだった。
(2010年5月23日06時01分 スポーツ報知)
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