佐賀市で2007年、知的障害者の安永健太さん=当時(25)=が警察官に取り押さえられた直後に死亡した事件で、付審判請求により特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われた警察官(29)の第1回公判前整理手続きが26日、佐賀地裁(若宮利信裁判長)であり、7月29日に初公判を開くことを決めた。警察官側は「暴行の事実はない」と無罪を主張していく方針を明らかにした。
地裁によると、争点は「警察官の暴行の有無」と「警察官の暴行と安永さんの傷害との因果関係」の2点。公判に呼ぶ証人として検察官役の弁護団から6人、被告の警察官側から現場の目撃者や同僚ら8人の採用が決まった。うち1人は双方申請で重複した。それぞれが請求した証拠や証人について採否に争いがある分は、6月30日の次回手続きに持ち越された。
手続き後、双方が会見し、検察側は「付審判請求を認めた裁判所と同様、証拠から警察官の暴行と傷害は立証できる」と強調。補充捜査として佐賀地検から新たな事件資料の提出を受けたことも明らかにした。一方、警察官側は「取り押さえ行為の中で偶然、傷付いたことはあったかもしれないが、殴った事実はない」と主張した。
付審判決定書などによると、警察官は07年9月25日午後6時ごろ、佐賀市南佐賀1丁目の路上で、自転車でバイクに衝突した安永さんを保護する際、胸などを数回、拳で殴打する暴行を加え、約1週間のけがをさせたとされる。
【写真上】審判で検察官役を務める本多俊之弁護士(中央)らが公判前整理手続き後、会見に臨んだ=佐賀市の県弁護士会館
【写真下】会見で、あらためて警察官の無罪を主張した被告側の安永宏弁護士(右から2番目)ら=佐賀市の安永法律事務所
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