性犯罪:2代にわたって犠牲になった母子(上)

強姦されて産んだ娘、強姦した男の息子から強姦被害に

「腹違いの兄」から強姦された娘、精神病院に入院

公訴時効を前に5回目の告訴へ

 Aさん(57)と娘は、ひまさえあれば緑茶の葉をしぼっている。精神障害2級の娘Bさん(35)は、「熱いお茶を飲むと、頭の中がきれいになる」と話した。今月18日、ソウル市鍾路区三清洞の丘の上にある古びた家で、Aさんはそんな娘を見やりながら、声を殺して泣いた。

 大学で演劇を学び、活気に満ちた日々を送っていたBさんは、6年11カ月前の2003年6月、精神病院に入院した。同年4月から6月にかけ、15年ぶりに連絡してきた腹違いの兄(当時35歳)から3回にわたって性的暴行を受け、そのショックで、10カ月も入院を余儀なくされた。

 入院してから6カ月後、ようやく娘から一部始終を聞いたAさんは、天地がひっくり返るほどの衝撃を受けた。Aさんが21歳だった1974年、強姦(ごうかん)されてできた子どもがBさんだった。

 Aさんは、「親子2代にわたって性的暴行の被害に遭ったということになる。死ぬこともできず、ただ生きているだけだ」とすすり泣いた。7男1女の末っ子だったAさんをかわいがっていた父親は、娘が強姦されて子どもを産んだ年、ショックを受け急死した。

 Aさんは2004年2月、自分を強姦した男の息子である、Bさんの腹違いの兄を、釜山蓮山警察署(現・蓮堤警察署)に告訴した。警察は、母親のAさんを立ち会わせず、Bさんと腹違いの兄に対する対質(二人の被疑者・参考人から同時に事情を聴く)を行った。興奮したAさんが捜査を妨害しかねないという理由だった。8カ月にわたって精神病院に入院していたBさんは、「酒をよく飲んだ」「合意の上で性交渉を持った」などと、辻褄の合わない証言をした。そして、「腹違いの兄の処罰を望むか」という警察官の質問に対しては、「兄を告訴する」と答えるなど、Bさんの話は支離滅裂なものだった。Bさんは「何を言ったのか覚えていない」と言い、首を振った。一方、腹違いの兄は「互いに合意の上だった」と主張し、Aさんを逆告訴した。

親子2代にわたって性的暴行の被害に遭った、Aさん(57)母子が今月18日、ソウル市鐘路区三清洞の自宅でお茶を飲んでいた。/写真=朴国煕(パク・グクヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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