オスプレイ配備を前提に想定問答などの調整を米本国に報告する米側文書。「ミスター・タカミザワ」の名前が読める
高見沢将林氏
米軍普天間飛行場の移設返還などを定めた日米特別行動委員会(SACO)当時、防衛庁の交渉担当者だった運用課長で、現防衛政策局長の高見沢将林氏は20日、垂直離着陸機MV22オスプレイの普天間代替施設への配備を念頭に、SACO最終報告直前まで米側と調整していたことを明らかにした。琉球新報社の取材に答えた。さらに高見沢氏の情報と明記した当時の米側文書では、具体的な配備に言及した上で、地元からの問い合わせを想定し配備計画に明言しない答弁を日米間で調整していたことも明らかになった。日本政府はこれまで将来的配備の可能性には言及していた。交渉当事者がオスプレイ配備に関する協議を認めるのは初めて。
普天間代替施設へのオスプレイ配備をめぐっては既に、SACO最終報告草案に盛り込まれていたのを日本側の要請で削除した経緯が明らかになっており、オスプレイ配備隠しの日米密約の構造があらためて浮き彫りになった。
高見沢氏は日米協議の内容については「覚えていない」と詳細は言及を避けた。SACO最終報告でオスプレイ配備を削除した理由について「まだ配備が不確定だったから」と答えた。
米文書は米国でのジュゴン訴訟で国防総省が提出した資料。SACO最終報告発表直前の1996年11月27日付で、在日米軍司令部の担当者が、米太平洋軍司令部や米国防長官室などにあてて送ったファクシミリ5枚。最終報告の草案内容と、オスプレイ配備に関する想定質問と応答要領を添付している。
表題は「日本政府の米軍普天間飛行場移設に対する情報」。報告内容は「防衛庁のタカミザワ氏から在日米軍・作戦計画部に提供された情報」と記している。
草案内容では代替施設について「ヘリの一部は2003年ごろにオスプレイに交代予定」と明記。一方、想定問答では「将来MV22が後継機となった場合でも、同じ条件下でも対応可能とされている」と具体的な配備計画には言及せず、質問をかわす内容としている。
政府は現在、国会答弁で「将来配備の可能性も否定できないが、具体的に決まっていないと聞いている」としており、想定問答に沿った内容となっている。
(滝本匠、仲井間郁江)
◆見沢防衛政策局長一問一答
高見沢将林防衛政策局長との一問一答は次の通り。
―文書にある「ミスター・タカミザワ」とはあなたか。
「私でないと言うのは難しい」
―この文書は知っているか。
「米国が内部文書として作成したものだ。私が文書を作り米国に渡したものではない。他国が作成した内部文書について、その内容が当たっているとか間違っているとか、政府としていちいちコメントする立場にない」
―文書には2003年にオスプレイが配備されると書いてある。当時から既にオスプレイ配備について知っていたのではないか。
「オスプレイについていろいろ議論はした。しかし詳細は覚えていない。海兵隊が配備したいと言っていただけで、米国政府としてはオーソライズ(認可)された話ではなかった。協議の段階では不確定な要素でもいろいろな議論はする」
―SACO最終報告の草案にはオスプレイ配備が明記されていたが、最終報告書では削除された。なぜか。
「当時、オスプレイを配備するかどうかはまだ不確定要素だったから」
―将来沖縄にオスプレイが配備されることになったら、日本政府は認めるのか。
「米国が将来、普天間飛行場のCH―46をオスプレイに交替する計画であることは知っている。その計画からすると、沖縄にオスプレイが配備される可能性はあるとも国会でも答弁している。当時に比べオスプレイの安全性は向上している」
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