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【安藤慶太が斬る】NHKこそ「人間動物園」ではないのか (4/5ページ)
補足すると、NHKのホームページには今も「パイワン族の人たち自身が当時どう受け止め、感じたかということは、『人間動物園』の事実を左右するものではありません。こうしたことは台湾の方々にとっても心地よいことでないことはもちろんですが、番組は当時の状況の中でおきた事実としてあくまでも客観的に伝えたものです」と書かれていて、ここをバジェルク・タリグさんは問題視している。実はパイワン人を差別し、見下している、民族の矜持(きょうじ)を踏みにじったのは、日本の過去の人々ではなくほかならぬNHKだ、と突きつけているのである。
■「人間動物園」と当時言ったのか
NHKのいう「客観的事実」というのも、どうにも怪しく、客観的事実だと主観的(独断的)に言っているのではないだろうか。
百歩譲って英国で植民地の人間を見せ物にする心ない仕打ちがあったとして、
それは日英博覧会での展示とイコールだったのか?
博覧会で「人間動物園」と表記されていたのだろうか?
日本がパイワン人を見せ物にしようとしたなら、なぜ日本の力士まで連れていったのだろうか?
日英博覧会でのパイワン人の展示について当時から人道上の問題が指摘されていたとNHKのホームページには書いてある。帝国議会で、博覧会への参加が「人道上の大失態」だと取り上げられていたというのだが、そこでのやりとりにも「人間動物園」という表現は出てこない。
また「人道上の大失態」だったとしても、まず問われるべきは英国側であって話は英国側が日本人とパイワン人の名誉を貶めたということを意味しているのではないのだろうか?
なぜ日本だけを悪者に描くのか?
裁判所に出された日英博覧会の関係書類には、何よりも博覧会参加にあたって日本側が「本邦(つまり日本、パイワン人の住む台湾も含めている)ノ品位」に意を払っていたとある。
つまり、日本物品の製作実演もすれば、演劇や手品などもあり、パイワン族ばかりではなく、アイヌ人もその生活ぶりを見せるために普通に寝泊りしていたのである。戦いの踊りや戦闘の真似事もその中の一つで、日本の品位を損するような「余興」は「一切之ヲ許容」しなかったともある。パイワン族はむしろ「本邦ノ品位」を示すものとして披露されていたと書かれているのだ。
後世の学者の後づけによる歴史解釈を無理筋でつなぎ合わせた番組だったのではないか。歴史への悪意はNHKにあったのではないか。こういう疑念は強まる一方である。