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質問なるほドリ:高速料金の割引、なぜ小さくなるの?=回答・山本明彦

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 ◆高速料金の割引、なぜ小さくなるの?

 ◇選挙にらみ建設優先 渋滞緩和、環境にも配慮

 なるほドリ 鳩山政権はもともと高速道路無料化と言っていたよね。なぜ、通行料金の割引を小さくするの?

 記者 割引のための財源2・6兆円のうち1・4兆円を、高速道路建設費に回すことが背景にあります。民主党は「料金を無料化し、高速道路は必要なものだけ税金で造る」と公約しましたが、財源を見つけるのは容易ではありません。さらに、小沢一郎幹事長が昨年12月、民主党の重点要望として、既存の割引制度の財源の一部を、道路会社による高速道路建設に充てるよう求めました。参院選を前に、地方などへの配慮を示す必要に迫られた鳩山政権は、割引よりも道路建設を優先させることにしたのです。

 Q 値上げすると鳩山政権の支持率がまた下がっちゃうよ。

 A 毎日新聞などの世論調査で、高速無料化を支持する人が少ないため「選挙をにらめば割引より建設」とみたのでしょう。また、高速料金が安いほど、鉄道など公共交通機関を使っていた人が車に乗り換えたり、渋滞が発生しやすくなって、二酸化炭素の排出量が増大。20年までに温室効果ガス排出量を90年比で25%削減する鳩山政権の目標と矛盾することになります。前原誠司国土交通相は9日の会見で「他の交通機関、環境への影響を考え、(料金の)最終形態を決めたい。今回の料金制度はその通過点」と訴えました。

 Q 「コンクリートから人へ」を掲げる民主党は、無駄な道路が多いと批判していたよね。

 A 高速道路はかつて、政府の計画に基づき、道路関係の公団が建設していました。ところが、採算の取れない道路を造りすぎたため、公団の借金は40兆円まで拡大。再建のため、小泉政権下の05年、4公団を高速道路会社6社に再編、民営化しました。民営化後は、各社が採算の合う道路だけを建設する原則となりました。不採算でも、地域生活に必要な道路を、税金で建設して無料開放する「新直轄方式」も創設されました。

 Q 無駄な道路建設がなくなったんだ。

 A そうとも言えません。金融危機を受けた景気対策のため、09年4月には、計画区間を10年ぶりに延ばしました。この中には採算の取れない道路もあるとされています。道路公団時代の借金を返さなくてはならないので、高速道路会社に不採算道路を造る余裕はありません。無駄な道路建設に歯止めをかけられなければ、借金が再び膨らんでいくことになります。(経済部)

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 ■割引財源転用で整備する区間

 【新規着工】

・東京外環道(関越-東名)

・名古屋環状2号線(名古屋西-飛島)

 【4車線化】

・上信越道(信濃町-上越JCT)

・館山道(木更津南JCT-富津竹岡)

・東海北陸道(白鳥-飛騨清見)

・高松道(鳴門-高松市境)

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 なるほドリコーナーへの質問をお寄せください。〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp

毎日新聞 2010年4月10日 東京朝刊

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