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質問なるほドリ:チリの地震で日本まで津波が来るのはなぜ?=回答・河内敏康

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 ◆チリの地震で日本まで津波が来るのはなぜ?

 ◇長い波長、威力衰えにくく 地球の反対側、障害物なし

 なるほドリ 南米のチリで大きな地震が起きたけど、どうして遠い日本まで津波がやって来るの?

 記者 そもそも津波は、地震や海底火山の噴火などで海底の地形が変化した結果、海面の盛り上がりや沈み込みによって生じた波が周囲に広がっていく現象です。地震の規模が大きいと、発生する津波の波長(波の山から山、谷から谷までの長さ)は長くなります。波長が長いと途中で津波のエネルギーが減衰しにくいため、遠くまで伝わりやすくなります。

 Q それだけ?

 A 日本とチリの位置関係から強まることがあります。日本とチリは約1万7000キロ離れていて、日本から見ると、ほぼ地球の反対側になります。地球儀で北極から広がった経線が南極で集まるように、チリ沖で発生した津波は、伝わる途中でいったん広がっても、日本付近で再び集まります。日本とチリとの間にほとんど障害物となるものがないことも一因です。

 Q 津波のスピードはどれくらいなの?

 A 津波の速度は、水深が深いところほど速くなります。例えば、太平洋の外洋にあたる水深4000メートルではジェット機並みの時速720キロですが、水深80メートルでは同100キロ程度です。太平洋を渡る津波は、ジェット機並みの速さになります。

 Q ところで、津波と波浪は何が違うの?

 A 波浪は、台風など海域で吹く風によって生じる現象です。波長は数メートルから数百メートル程度で、一つ一つの波による力が小さく、沿岸で砕け散ってしまいます。津波は、波長が数キロから数百キロと非常に長く、巨大な水の壁となって力が加わるため、破壊力が大きくなります。

 Q そうなんだ。遠くから来た津波で気を付けることは?

 A 大きな揺れを感じないのに、突然大きな津波に襲われることがあります。また、第1波より、後続の波が大きくなる傾向があります。実際、1960年のチリ地震津波でも、各地の最大波は第1波ではなく、後続の波でした。第1波が小さいからといって油断せず、気象庁の津波警報・注意報などの情報に注意しながら、高台などに避難し続けることが大切です。(科学環境部)

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 〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係(naruhodori@mainichi.co.jp)

毎日新聞 2010年3月1日 東京朝刊

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