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質問なるほドリ:法的整理って何?=回答・山本明彦

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 ◆法的整理って何?

 ◇借金減やリストラ、強制的に 日航は「再建型」で運航継続

 なるほドリ 日本航空の再建は、「法的整理」で進めるようだね。法的整理って何?

 記者 会社更生法や民事再生法など、法律に基づく倒産手続きです。倒産といっても、企業がなくなるわけではありません。二つの法律は、定められた手続きに基づいて借金を棒引きしたり、新たな経営者や、再建資金を出すスポンサーを選ぶなどして企業を立ち直らせるもので、「再建型」の法的整理と呼ばれます。再建が難しい場合、破産法に基づき、保有する財産を債権者に分配して企業をたたむ「清算型」もあります。日航の場合、「再建型」の会社更生法を適用する見通しです。

 Q 銀行や日航は「私的整理」を希望していたようだけど、どう違うの?

 A 私的整理は、銀行などと企業が話し合いで借金の棒引き額や、新たな経営計画を決めます。法的整理に比べて倒産色が薄いため、企業イメージの低下をある程度抑えられますが、計画実施の強制力に欠け、現実に再建できるかは不透明です。

 Q 日航はなぜ、法的整理が必要だと考えられているの?

 A これまでも銀行中心で、融資拡大やリストラによる再建を進めてきましたが、うまくいきませんでした。銀行は損失を抑えたいため、大幅な借金減額に反対し、日航も親方日の丸意識が抜けず、リストラが不十分でした。このため、日航再建を支援する予定の企業再生支援機構は、会社更生法で裁判所が選ぶ管財人のもと、強制的に借金を棒引きしたり、厳しいリストラ計画を実行させることが不可欠だと判断したようです。

 Q 本当に再建できるの?

 A 米国では、同時多発テロ後の航空不況や原油高でデルタ航空など航空大手の破綻(はたん)が相次ぎました。しかし、日本の民事再生法に近い米連邦破産法11条を適用し、借金カットや大規模なリストラで再建にこぎつけた例があります。

 Q 日航も大丈夫だね。

 A 連邦破産法11条は、戦略的に借金を減らして経営を立て直すための手段と割り切る見方が浸透しており、適用した航空会社も支障なく運航を続けることが可能でした。しかし、日本の会社更生法は倒産イメージが強いため、顧客離れや、不安を抱いた取引先から現金決済を求められて資金繰りが難しくなるなどの懸念もあります。安定運航を続けるには、万全の対策が必要でしょう。(経済部)

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 〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係(naruhodori@mainichi.co.jp)

毎日新聞 2010年1月9日 東京朝刊

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