◆オブリ兄弟によるシャンパーニュ用ブドウ品種8種の解説◆
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◇シャルドネ/Chardonnay
白ブドウ品種。上質でエレガント,そして非常に力強いアロマを持ったワインを生む。白い果物やスイカズラ,エキゾチック・フルーツなどの香りと味わいに加えて,ミネラルのノートを持つ。 |
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◆ピノ・ノワール/Pinot Noir
赤ブドウ品種。美しい色調,非常に心地良いブーケ,そして長く余韻の残る味わいを持つ熟成向きのワインを生み出す。力強く肉付きの良い骨格。イチゴや白トリュフの香りと味わいを持つ。 |
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◆ムニエ(別名:ピノ・ムニエ) /Meunier, Pinot Meunier
赤ブドウ品種。薄い色調で,ピノ・ノワールよりフルーティーで早熟なワインを生む。木イチゴ,チェリー,温かいパンなどの香りと味わいを持つ。 |
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◇ピノ・ブラン/Pinot Blanc
白ブドウ品種。ピノ・ノワールが突然変異した品種。グリーンを帯びた黄色の果皮を持ち,果物の香りが豊かで,シャルドネと良く似た特長を持つが,シャルドネよりはマイルド。 |
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◇フロモントー(別名:ピノ・グリ) /Flomonteau, Pinot Gris
バラ色がかった灰色から青みがかった灰色までバラエティに富んだ果皮を持つ品種。非常に上品で高い品質のワインを生み出す。過熟が可能な品種。チェリーやチェリー・ブランデー,白すぐりなどの香りと味わいを持つ。 |
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◇アルバンヌ/Arbanne
白ブドウ品種。ドライで生き生きとして,香り高いブーケを持ち,並外れた熟成力を持つワインを生み出す(特にブドウの良作年は豊満なワインになる)。スミレやお香,シナモン,スズランなどの香りと味わいを持つ。
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◇プティ・メリエ/Petit-Meslier
白ブドウ品種。豊満で新鮮さに満ち溢れ,非常にフルーティーなワインを生み出す。オレンジのコンフィ,グレープフルーツ,南イタリアのベルガモット・エッセンス,フレッシュ・アーモンドなどの香りと味わいを持つ。 |
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◆アンフュメ(別名:ムニエ・フュメ)/Enfume, Meunier Fume
赤ブドウ品種。その名前の通り,ピノ・ムニエに近い品種で,半透明のバラ色の果皮を持つ。ドライ・フルーツや小さなレッド・フルーツの香りと味わいを持つ。
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◆シャンパーニュに使用できるブドウ品種について◆
1919年に制定されたAOCシャンパーニュの規定によると,指定品種に関して,下記のような記載がある:
●シャンパーニュの生産に使用できるブドウは,以下の品種に由来するブドウのみである→すべてのピノ系品種,アルバンヌ,プティ・メリエ
・・・はっきりとアルバンヌ,プティ・メリエと書かれていることから,この2品種は間違いなくシャンパーニュの指定品種であることが分かる。続いて,ピノ・ノワールとピノ・ムニエ,ピノ・ブランはピノ系品種であるので,これも指定品種ということになる。フロモントーはシャンパーニュにおけるピノ・グリの別名でピノ系品種,アンフュメはピノ・ムニエに近い品種で,これもピノ系品種であるため,どちらも指定品種ということになる。最後に,「では,なぜシャルドネが指定品種なのか・・・?」という疑問が残るが,これはAOCシャンパーニュの法律が制定された当時(1919年)は,ブドウ分類学も確立しておらず,シャルドネはピノ・ノワールの突然変異によるもので,ピノ系品種の1つであると考えられていたため,シャルドネを含めて「すべてのピノ系品種」という表現が使われたからである。
今日,ブドウ品種辞典として世界的に有名なものに,ブドウ分類学の父と呼ばれたピエール・ガレ/Pierre Galet著の『ブドウ品種百科辞典/Dictionnaire Encyclopedique des Cepages』があるが,この本が出版されたのは1945年のことである。ブドウ分類学者,ピエール・ガレの研究とこの本の出版によって,シャルドネとピノとピノノワールは別の品種であることが認知されていったため,現在ではシャルドネとピノ・ノワールは別の品種であるということが当たり前になっているが,当時(1919年)は同じピノ系品種と考えられていたのである。
つまりル・ノンブル・ドール“カンパナエ・ウェテレス・ウィテス”に使われている古代品種4品種(アルバンヌ,プティ・メリエ,フロモントー,アンフュメ)はすべてシャンパーニュの指定品種として法的に認められている。実際,ラベル上に間違いなくシャンパーニュの記載がなされていることから,INAOによって合法であると認められたものであることは疑いの余地はない。ブラン・デ・ブランに関しても,アルバンヌ,プティ・メリエの2つの品種が白ブドウ品種であるため,シャルドネとアッサンブラージュして,ブラン・デ・ブランを名乗れることが合法的であることが分かる。
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