哨戒艦沈没:北朝鮮による強行措置とは(下)

国際社会による制裁、足並みの乱れを狙う検閲団

 さらに朝鮮人民軍板門店代表部は今年3月末、「DMZ(非武装地帯)を見学したり、取材などを行う者には、人命被害が発生するだろう」と脅迫した。これについて西江大学のキム・ヨンス教授は、「DMZ内で民間人などを狙った射撃が行われないか心配だ」と述べた。

 北朝鮮では国内で民間と軍に準戦時体制を命じ、全軍戦闘動員体制を発動して、天安局面を住民統制に利用するとの見方もある。

国防委検閲団の韓国派遣は制裁の影響を食い止める目的か

 北朝鮮の国防委員会はこの日、「韓国に検閲団を派遣する」という異例の発表を行った。これは、北朝鮮情勢が余談を許さない状況にあることの裏返しともみられている。北朝鮮に対する制裁が本格的に始まる前に、制裁による被害を最小限に抑えるためとの見方が有力だ。韓国政府が開城工団を除く南北交易を遮断した場合、北朝鮮は年間2億ドル(約179億円)以上の現金収入を失うことになる。とりわけ今月26日のクリントン米国務長官による韓国訪問と、29-30日に予定されている韓中日首脳会談で、北朝鮮への制裁に対して各国が歩調を合わせれば、北朝鮮の苦痛はさらに深刻化する。統一研究院の崔鎮旭(チェ・ジンウク)博士は、「韓国に検閲団を派遣するのは、制裁の影響を最小限に抑える目的がある」と分析しているが、これもこのような背景から出ている。

 南柱洪(ナム・ジュホン)外交通商部国際安保大使は、「検閲団が韓国を訪問し、韓国の調査結果をでっち上げだと公の場で騒ぎ立てれば、韓国国内の北朝鮮同調勢力がこれに歩調を合わせるだろう。それに伴い、韓国国内での対立が激しくなる可能性が高い」と指摘した。一方で北朝鮮の消息筋は、「故・金日成(キム・イルソン)主席は1968年の大統領府襲撃事件について、“一部盲動主義者の犯行”とし、“トカゲの尻尾切り”を行った。金総書記も、検閲団の派遣によって局面の打開を図ろうとする意図があるとも考えられる」と述べた。

アン・ヨンヒョン記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る