哨戒艦沈没:政府の「断固たる措置」とは
経済協力中止で「金づる」断ち、国連制裁実務作業を本格化
「韓国海軍哨戒艦『天安』沈没は北朝鮮の魚雷攻撃によるもの」という韓国軍・民間合同調査団の調査結果が20日に正式発表されたのに伴い、韓国政府が今後取る「断固たる措置」とは何なのかに関心が集まっている。政府関係者は「直接攻撃などの軍事報復以外で、可能なあらゆる措置を検討している」と話したが、結局は「武力アピールなどを通じ、北朝鮮に軍事的脅威を与える」「経済制裁措置で『金づる』を断つ」の二つに要約される。つまり、韓国政府の対応がどれだけ「断固とした」ものになるかは、国際社会がどれだけ協力するかにかかっているということだ。
軍事的対応措置としてまず検討されているのは、韓米同盟に基づく連合訓練や警戒態勢強化だ。韓米両国は、当初今年秋ごろに予定されていた韓米連合の対潜水艦訓練を、来月中に繰り上げ実施する方針に事実上合意したという。この訓練には原子力空母やイージス艦など米海軍第7艦隊の戦力が多数投入され、実際に魚雷を発射して訓練をするなど、事実上、海上封鎖に近い武力アピールをする方向で検討されているという。このほかにも、国防部は北朝鮮向けの宣伝戦再開・済州海峡の北朝鮮船舶通行阻止・北方限界線(NLL)侵犯時に警告射撃でなく、撃沈射撃することなども検討中だ。だが、「北朝鮮の潜水艦基地攻撃などの直接的な軍事措置は、中国をはじめとする周辺国の立場を考慮すると容易でない」という見方が多い。
結局、「北朝鮮に実質的な苦痛を与えるには、資金源を断つのが最も効果的」というのが政府関係者らの考えだ。そうした面から、「国連安全保障理事会の追加制裁は、韓国が取り得る最強の措置の一つでは」という声も上がっている。現在、国連安保理決議第1874号が発効しているが、これにさらに制裁が加われば、北朝鮮の経済的な孤立は深まり、金正日(キム・ジョンイル)政権が実感する苦痛も増すということだ。外交部は調査団の発表直後、北朝鮮が韓国戦争(朝鮮戦争)休戦協定および国連憲章に違反したと規定、国連制裁のための実務作業に着手した。
政府が独自に北朝鮮の資金源を断つ方法もある。統一部は開城工業団地を除く南北経済協力を事実上、全面中止し、北朝鮮との貿易や賃加工事業も縮小することを検討していると伝えられた。こうした事業が中止になれば、北朝鮮は毎年約2億ドル(約180億円)の損害を被ることになるとみられている。しかし、開城工団閉鎖については、現地に残っている韓国人の引き揚げ問題などが絡んでおり、慎重な姿勢だという。
政府の対応は、来週初めに予定されている李明博(イ・ミョンバク)大統領の国民向け談話で、そのあらましが明らかになる見通しだ。大統領府の朴先圭(パク・ソンギュ)報道官は、「大統領は軍の統帥権者として決然たる覚悟で臨んでいる。相応の責任を問うため、断固とした措置を間もなく決意するだろう。談話には『措置』のほとんどが盛り込まれると思う」と述べた。大統領府は各部処(省庁)で検討している複数の対応策のうち、実行できるものを選び、談話に盛り込む作業を進めているという。だが、そのうち、北朝鮮が「痛感」するほど効果が大きいものは、ほとんどが米中などの周辺国や国際社会の協力が不可欠なため、「韓国政府がこれまで強調してきた『断固たる措置』の内容や程度も限られたものにならざるを得ない」との見方もある。
黄大振(ファン・デジン)記者
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