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【政治】

参院選『挙党一致』どこへ 民主早くも敗戦想定

2010年5月23日 朝刊

 民主党内で、夏の参院選での敗北を想定したかのような政局論が早くも飛び交っている。注目の的は「敗戦後」に小沢一郎幹事長が進退も含めてどんな一手を打つか。小沢氏はあくまでも単独過半数獲得を唱えているが、決戦を前に挙党一致とはいえない状況だ。 (高山晶一)

 小沢氏は参院選に向けた全国行脚で「国民の命と生活を守る政治を思い切って実現するために、参院で過半数をとる」などと依然、過半数に執着を見せている。

 民主党が単独過半数(百二十二議席)を獲得するには、夏の参院選で六十議席以上が必要。六十議席は同党が大勝した前回の参院選の獲得議席で、簡単に実現できる数字ではない。内閣支持率が低迷し、政権浮揚の材料も見当たらない現状ではなおさらのことだ。

 このため、単独過半数はおろか、与党過半数維持も難しいとの見方が民主党内で広がりつつある。「民主党の獲得議席は三十議席前半」(中堅議員)と惨敗を予言する声すらある。

 こうした中、早くも関心を集めているのが参院選後の小沢氏の動き。議員同士の会食の場などでは、参院選で負ければ、小沢氏は辞任するのか、それとも権力を保持できるのかが話題になるという。ある中堅議員は「負けた場合、責任の多くは小沢氏にある。当然やめるべきだ」と指摘。「九月の代表選後も居座るようなら、こちらも我慢の限界だ」と言い放つ。

 一方、小沢氏に近い党幹部は「与党で過半数にいかない時、自民、公明両党に手を突っ込んで政権を維持できるのは小沢氏しかいない」と力説。野党との連携や一本釣りで剛腕を発揮するには、小沢体制を継続するしかないとの見立てだ。

 別の党幹部は「ごたごた言う人が多ければ、小沢氏は取り巻きを連れて離党し、自民党と連立政権をつくることだってありうる」と政界再編に言及する。改選複数区に複数候補を擁立する小沢氏の参院選戦略も、政局に備えて「子飼い」を増やすためとの見方もある。

 もっとも、こうした憶測が流れる今の民主党内の雰囲気は、政権交代に向けて結束していた昨年の衆院選時とは全く違っている。小沢氏が訴える一致結束は並大抵ではなさそうだ。

 

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