東国原知事「殺処分の49頭まだ生かしている」
5月22日22時34分配信 読売新聞
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ワクチン接種される農家の視察に訪れた、山田農水副大臣(中央)と東国原知事(右)(宮崎県提供) |
特例で家畜移動制限区域外に避難させた主力級種牛に感染が判明した22日、東国原英夫知事は突然、いったんは殺処分にしたと説明していた種牛49頭がまだ生きていることを明らかにした。
種牛として残すよう国に正式に要望するという。防疫体制の確保か、宮崎牛ブランドの維持か。政府の対策本部は難しい判断を迫られそうだ。
東国原知事は22日、同県西都市に避難中だったエース級種牛「忠富士(ただふじ)」の感染判明を受けて記者会見し、主力の種牛6頭が特例を認められたように、49頭についても「協議の余地はないだろうか」と述べた。知事は忠富士以外の5頭にも感染の可能性があることに触れ、「このままだと宮崎県から種牛がいなくなる。49頭についても遺伝子検査をするので、経過観察を認めてほしい」と険しい表情で語った。
49頭はもともと忠富士など主力級6頭とともに、県家畜改良事業団(高鍋町)で飼育されていた。県は6頭を避難させた後、49頭について、殺したり埋めたりする過程に入っていると発表していた。
ところが、この後、埋却地や殺処分に当たる獣医師が足りない問題が浮上。農家側から「県の施設の牛より、農家の殺処分を優先すべきだ」などの声が寄せられ、処分を後回しにしていた。
県によると、49頭によだれなど口蹄疫特有の症状は出ていないという。
宮崎入りしている政府現地対策チーム本部長の山田正彦・農林水産副大臣は22日、これについて、今週中にも知事の意向を赤松農相に伝え、協議する意向を示している。
一方、県の主張に対し、協議を受ける立場の農林水産省内からは早くも異論が出ている。
ある省幹部は「6頭の避難を認めたのが異例中の異例なのに、さらに49頭の殺処分を取り消すなど、特例を乱発すれば、日本の家畜衛生行政は世界の信頼を失う」と指摘。「宮崎県側の“気持ち”は分からないでもないが、あくまでも省は、情緒ではなく科学的見地から判断すべきだ」と語った。
最終更新:5月22日22時34分
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