帰国し笑顔を見せる北野武=成田空港(撮影・金田祐二)
フランスで開催中のカンヌ国際映画祭に出席した北野武監督(63)が21日、成田空港着の全日空機で帰国した。コンペティション部門に出品された最新作「アウトレイジ」(6月12日公開)が、現地メディアからは酷評されながら、一般ファンが観賞した日本時間18日の公式上映では約5分間のスタンディングオベーションがあったことを受け「反響がすごかったよ。ざまぁみやがれって感じ」と満足げに怪気炎を上げた。
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帰国した北野監督がニヤリと笑った。現地の一般ファンからの高評価と裏腹に、著しく低評価だった批評家に対し「ざまぁみやがれ」と毒ガス攻撃をあびせた。
フランスの“キタノ人気”をあらためて証明した。日本時間18日に行われた公式上映では、2300人の一般ファンから上映後に約5分間にわたって、拍手や手拍子交じりのスタンディングオベーションを受けた。32カ国120媒体以上の取材を受けるほどのモテモテぶりだった。
一方で、批評家の「アウトレイジ」への評価は厳しかった。公式上映翌日に発行された映画祭専門のフリーペーパー「スクリーン」での星取表では、各国の映画ジャーナリスト9人の平均が0・9点(5段階評価)。3人が0点をつけた。過激な暴力描写と、映画祭では異例のエンターテインメント性が受け入れられなかったようだ。
日本時間24日未明には最高賞パルムドールの発表が控えるが、北野監督は「そういうのは全然無理だなぁ」と白旗を揚げた。それでも「面白かったよ」と、1999年の「菊次郎の夏」以来11年ぶりのコンペ出品というガチンコ対決の舞台を大いに楽しんだ様子だった。
現地でのマーケットも好調で、すでにフランス、ロシア、イスラエルなど世界6カ国での配給が決定しており、成果は十分だったようだ。