◇夏場所13日目
両手で鯛を掲げ笑顔の白鵬=東京都墨田区の宮城野部屋で
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![写真](/contents/038/025/205.mime4) |
後続に3差をつけて独走していた横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が大関琴光喜を小手投げで退けて13戦全勝とし、2場所連続14度目の優勝を決めた。初場所14日目から続く連勝は30となった。13日目での優勝決定は白鵬自身の2008年名古屋場所以来。大関陣は琴欧洲が日馬富士を寄り切り、ともに9勝4敗。新大関把瑠都も関脇稀勢の里をはたき込み9勝目。魁皇は鶴竜を引き落とし、琴光喜と同じく7勝6敗となった。小結琴奨菊は勝ち越しを決めた。
力の違いを見せつけるように、大関琴光喜の全力の当たりを受け止めてみせた。白鵬は土俵際まで下がり、まわしの取れない不利な右四つになったが、まったく慌てなかった。「まず右を狙って。決して勝負を焦らない考えでね」。攻めをしのいで土俵中央に押し戻すと、琴光喜が出てくるところを鮮やかな小手投げ。自身2度目の13日目Vを達成した。
「東京での優勝が欲しかったんで、それが何よりうれしい」と目を細めた。国技館での優勝は一昨年秋からごぶさた。夏場所に限れば横綱昇進を決めた2007年以来、横綱としては初制覇だ。「地方に強い横綱」のレッテルを返上できたことに、喜びを深めた。
目標にしてきた横綱輪島に並ぶ14回目の優勝だ。輪島さんとは初めて横綱を目指した2006年名古屋の時から、けいこで激励を受けてきた。「おとこ気のある昭和の横綱という感じ。話すのがすごいこと」と尊敬してやまず、横綱の大先輩としての教えを自らの横綱道に生かしてきた。それだけに優勝回数で並んだ思いはいっぱい。「千秋楽に取っておきましょう」と、すぐに語るのをためらった。
強さが際立った一人横綱2場所めだった。「先場所の経験が生きた。責任感や負けられないプレッシャーに慣れた」。重圧を乗り越えると、ただ下位の力士との差があらわになった。スピードVにも「余裕があった。みなさんがついてこれなかったから。でも(横綱として)当然といえば当然」と涼しい顔だ。
連勝もついに3度目の30の大台に乗せた。4度の大鵬に次ぐ2位の快挙だが、こちらも「2回もやってるし、あまり(プレッシャーは)感じない」と“慣れ”を強調した。今後は連勝記録の更新に関心が移る。だが「気楽にいきたいですね」。肩の力が抜けた絶頂期の横綱に敵はなさそうだ。 (田中一正)
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