主将に指名された川口(右)。練習中、リラックスした表情を浮かべる=さいたま市内のグラウンドで
|
|
ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会に出場する日本代表は21日、さいたま市内に集合し、W杯に向けて本格的な練習をスタートした。岡田監督はチーム主将に、最年長のGK川口能活(磐田)を指名した。また大会中の背番号も発表され、2大会連続で「10」のエースナンバーを身に付けるMF中村俊輔(横浜M)は「世界4強」に向け、フォア・ザ・チームの姿勢を強調した。日本は24日に埼玉スタジアムで韓国と壮行試合を行う。
百戦錬磨のベテランも、武者震いが止まらなかった。GK川口能活は心の内の感情がざわめき、わき立ち、決意を強くした。「みんなの夢、みんなの思い、サッカーにかかわる人たちの代表。チームが勝つための最善の努力、持てるものをすべて出したい」。淡々と、でも、並べる言葉はどこか力強かった。
宿舎に入ると、岡田監督に呼び出された。部屋でひざをつき合わせ、チームキャプテンの任を託された。「リーダーシップを発揮してほしい」。肩書はどうでもいい。微力であっても力になりたい。だから、背負う重責さえもうれしく感じ、凝りきった心はほぐれた。心中のさざ波は消え、「喜んでやります」と即答した。ニッポンの新主将が誕生した瞬間だった。
09年1月以来、1年4カ月ぶりの代表ジャージー。当たり前のように着ていた時代。故障で遠ざかった時代。一度はあきらめかけた夢だ。袖を通す時は少しだけ感傷に浸っていた。
「感動…ですね。久しぶり。さらに戦う決意が強くなった。練習着でも、代表のジャージーは重いですから」
若いころのように拳を固めたり、声を強めたりはしない。心配はいらない。任せておけばいい。居慣れた場所に、守護神が戻ってきた。泰然自若の存在感が、岡田ジャパンの進撃を点火する。 (松岡祐司)
この記事を印刷する