東北楽天−巨人 9回にサヨナラ打を放ち、中村紀(99)らナインに祝福される鉄平(左)=Kスタ宮城
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◆楽天5−4巨人
楽天応援席では「鉄平」と書かれた巨大フラッグがぶんぶんと翻る。プロ10年目で初のサヨナラ打を放った鉄平は、ベンチを飛び出した同僚たちからペットボトルの水を次々と浴びせられ、全身びしょぬれ状態。逃げるので精いっぱいだ。
「気持ち良く打席に立てた。積極的にいくしかないと思ってストライクゾーンに来た球はすべて振っていこうと思っていた」。2−4の9回、1死満塁から代打で憲史が値千金の同点2点打を左前に運び、続く高須も意地の中前打でチャンスを広げた。サヨナラのおぜん立てをしてもらった鉄平は大胆にも打席に入る前に白い歯を浮かべていたという。
「笑みが出ました。こんなにおいしい場面はなかったですから。それに僕が倒れても(中村)ノリさんが打ってくれたでしょうから」。もともと感情を表に出すのが苦手で野武士のように無表情で打席に立つのがトレードマーク。試合後の会見では普段のもの静かさを取り戻したものの、憲史とともに上がったお立ち台では声を振り絞りながら、ファンに感謝の言葉を贈った。
蛇のようなしつこさで4点差をひっくり返した。反撃ののろしを上げたのは11試合連続安打中の4番・中村紀だった。0−4の8回2死一塁でバックスクリーンに4号2ラン。ふさぎ込んでいた同僚に活を入れたことがサヨナラ劇につながり、鉄平も「僕は最後に決めただけ。ノリさんの本塁打で、何となくいけるかもしれないと思った」と殊勲をたたえた。
全員野球で今季3度目のサヨナラ勝ちをもぎ取り、巨人戦の連敗は5でストップ。リーグ最下位タイから単独5位に戻った楽天にとっては、目覚めの1勝となりそうだ。 (鶴田真也)
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