［魁皇１０００勝へあと２］元千代大海とこだわり続けた土俵…夏場所１３日目

　◆大相撲夏場所１３日目　○魁皇（引き落とし）鶴竜●（２１日・両国国技館）　鶴竜を引き落とし、９９８勝をもぎ取った。残り２日間を連勝すれば今場所で１０００勝に到達する。「そこに向かって残り２日間を頑張るしかない」。珍しく記録を意識し、闘志をかきたてた。

　９９８勝にたどり着くまで幾多のライバルがいた。中でも対戦数で歴代２位の５４回も対戦した元大関・千代大海の佐ノ山親方は格別だ。共に「ライバルであり戦友」と明かす。佐ノ山親方は言う。「２人でよく、オレたち引き際を見失ったねって話していた」。言葉はマイナスに映る。しかし、真意は違った。

　「周囲に何を言われようとも自分が納得いくまで土俵で戦おうという、励ましの言葉だった」。桜のように散るのも美学。しかし、２人は土俵へこだわり続けた。同じ思いの同志がいたからこその９９８勝だった。今年初場所３日目、魁皇に敗れ、親方は引退を決意した。「ほかの相手だったら辞めてなかった」。好敵手の思いを背中に大記録に挑む。