(cache) 2006年人身売買報告書(抜粋)
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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

2006年人身売買報告書(抜粋)

国務省人身売買監視対策室
2006年6月5日

(下記は、国務省発表の2006年人身売買報告書から日本の項目を抜粋した仮翻訳です。)

日本 - (第2階層)

  日本は、商業的な性的搾取のために売買される男女や子どもの目的国および通過国となっている。人身売買の被害者の大半は、合法的な仕事を求めて日本へ移動してくるものの、だまされたり強制されたりして、借金に縛られ、あるいは性的奴隷状態となった外国人女性である。中国人およびタイ人の移民が強制労働で搾取されているとの事例報告もある。女性や子どもは、主としてタイ、フィリピン、ロシア、および東ヨーロッパから、商業的な性的搾取のために日本へ売買されている。これより規模は小さいが、コロンビア、ブラジル、メキシコ、韓国、マレーシア、ビルマ、およびインドネシアからも、女性や子どもが性的奴隷として日本へ売買されている。日本人の未成年女子が性的搾取のために国内で人身売買される問題も継続している。日本における人身売買被害者数についてのはっきりとした推計はないが、被害者は相当数に上るという点で大方の意見が一致しており、また多くの女性は人身売買業者による報復を恐れて、名乗り出ることをしない。国際的に活動する日本の組織犯罪集団(ヤクザ)が、人身売買に関与していると考えられている。

  日本政府は、人身売買撲滅のための最低基準を十分には満たしていないが、満たすべく著しい努力をしている。この1年間に日本は、人身売買対策の改善の促進にさらなる進展を見せた。日本政府は、人身売買対策に一層の積極的な姿勢を示し、被害者のケアと保護に、さらなる資源を投入した。また、フィリピン人への「興行ビザ」発給を厳格化するという政府の努力にも著しい前進が見られ、その結果、フィリピン人女性の日本への売買が大幅に減少した。しかしながら、改善された法執行対策が、人身売買業者に対する執行猶予付きの判決に終わるという例がしばしば見られる。人身売買に関わっているとされる犯罪組織に対する捜査および起訴のためのより一層の努力、そうした組織が外国人のダンサーや歌手を雇用することを阻止するための法改正、そして人身売買に関与した罪で有罪判決を受けた者に対する実刑の長期化が、日本における人身売買の減少に役立つであろう。

起訴

  この1年間に、人身売買行為を処罰する日本政府の努力は改善された。2005年6月、政府は、人身売買を犯罪とし、重い懲罰を規定することを明確にすべく大幅な刑法改正を行った。しかしながら、人身売買の犯罪を証明するために必要な証拠書類を整備することが難しいため、この法律の適用が妨げられている。「入国管理及び難民認定法」の改正も、人身売買の問題に対処し、政府が人身売買の被害者に一時的な特別在留許可を与えることを可能にした。このほかにも、人身売買業者の処罰に適用可能な関連法令が多数あり、こうした法令は被害者が未成年である場合によく使われている。

  将来、組織犯罪処罰法が改正されれば、検察官が人身売買に対して「共謀罪」の規定を一層広範に適用することができるようになり、刑罰が拡大され、財産没収が認められるようになる。2006年5月、改正風営法が施行され、これによって風俗営業の事業者は、従業員の在留資格を確認し実証することが義務付けられた。

  過去2年間、人身売買関連の犯罪に対する法執行対策は着実に強化されてきているが、人身売買業者の拘禁につながった起訴の例はほとんどない。政府の報告によると、2005年には、人身売買に関して75件の起訴があり、うち64件に有罪の判決が下され、11件が係争中である。2005年半ばに改正刑法が施行され、政府は、同法の規定の下、1件の有罪判決を得た(現在控訴中)。現在、改正刑法の下で捜査が継続している人身売買事件が数件ある。人身売買関連の犯罪で有罪となった者64人のうち3人が、4年から5年の懲役刑および多額の罰金を科された。日本の司法慣習に従って、その他の犯罪者の大半は執行猶予付きの判決を下された。これは通常、罰金を伴い、犯罪者に一定期間の再犯がない限り、実刑はない。政府は、年間を通じて、人身売買事件で、インドネシア、タイ、コロンビアなど多くの国々と積極的に協力した。警察庁は引き続き、同庁の捜査官や地方警察に対して、2003年に非政府組織(NGO)と共同で制作したドキュメンタリー映画を利用した研修を実施している。しかしながら、日本では、組織犯罪との結びつきを立証することが、法執行にとり重要な障害となっている。

保護

  日本政府は、人身売買の被害者を保護し、シェルターを提供する多大な努力を継続し、そのために10万ドルの予算を計上した。また国会が、これとは別に、被害者の医療のための予算を審議中である。政府の報告によると、 2005年には日本国内で109人の被害者が確認され、保護サービスを受けた。通常、被害者は、日本の47都道府県のすべてに設置されている女性相談センターのいずれかでで保護および支援を受ける。女性相談センターは、被害者に直接サービスを提供するか、または民間の施設に紹介する。被害者が18歳未満である場合は、児童相談所に紹介する。日本政府の2005年の予算では、被害者対策に1000万円が要求され、これには、シェルター、精神的なケア、および医療支援の資金が含まれる。東京都および神奈川県のNGOのシェルターは、地方自治体からも、人身売買被害者対策の資金援助を受けている。昨年、日本は、外国人の人身売買被害者の帰国を支援するために、国際移住機関(IOM)に資金を提供し(16万ドル)、その結果66人の被害者が無事帰国した。このほか、外国人被害者47人に一時的な在留許可が与えられた。この1年間に新たな審査過程が導入され、その結果、人身売買被害者と認定された総数は増えたが、この認定数はまだ比較的少ないという意見が大勢を占める。こうした進展はあったが、日本政府は、人身売買の犯罪捜査あるいは起訴に協力することに同意した女性に対する保護を強化する必要性を認識している。被害者の女性の多くは、依然として身の危険を感じており、人身売買業者に不利な証言をすることを拒否している。より協調的な紹介の仕組みと、人身売買の被害者専用のシェルターを充実させることによって、被害者が受けられるサービスを改善することができる。

防止

  日本政府は、日本において人身売買が大きな問題であることを認識しており、「人身取引に関する関係省庁間連絡会議」を設置した。また政府は、2004年の全国的な「人身取引対策行動計画」を実行している。潜在的被害者が助けを求めることができる連絡先を知らせるパンフレットを7カ国語で100万部作成するなど、社会への広報活動が数多く実施されている。日本は、被害者送出国に対する援助を極めて積極的に行っており、コロンビアとタイの両国で、人身売買抑止を目的とするプログラムに資金を拠出している。また日本政府は、これらの国々における人身売買対策活動のために、ユニセフに65万ドル、国際労働機関(ILO)に200万ドルを拠出した。政府は、人身売買への需要対策を開始しており、そのために日本の中学・高校に配布される海外事情紹介の雑誌に人身売買に関する情報を掲載し、また学校のカリキュラムで人身売買をどのように取り上げるかという研究プロジェクトに着手している。日本では、売春は違法であるが、その需要を刑事罰の対象とする努力はなされていない。