日本野鳥の会筑後(事務局・久留米市、175人)は、筑後川や有明海、耳納(みのう)連山など、筑後地区でバードウオッチングを楽しめる36カ所を紹介した初のガイド本「筑後の探鳥地」を発刊した。松富士将和会長(69)は「鳥は環境のバロメーター。本を頼りに身近な鳥たちの鳴き声や姿を観察すると同時に、川や山が汚れ、鳥たちの数が減っていることにも目を向けてほしい」と話している。
松富士会長によると、「九州一の大河・筑後川、日本最大の干潟・有明海を抱く筑後地区の野鳥に、より多くの人が関心を寄せてほしい」と企画。吉田学術教育振興会(久留米市)の支援を受けて1500部を製本した。
「探鳥地」はA5判のカラー60ページ。花立山・城山公園(小郡市)▽高良山(久留米市)▽筑後川河口域・昭代干拓(柳川市)▽矢部川河口域・大和干拓(同)▽釈迦(しゃか)岳・御前岳(八女市)▽中の島公園(みやま市)▽三池山(大牟田市)などを地図付きで紹介。松富士会長を含めた会員11人が、実際に足を運んで調べた環境面の特徴▽アクセス方法▽お薦めの観察コース▽観察される鳥‐などをまとめている。
巻末には、1960-2010年3月に筑後地区で確認された255種類の鳥について、カイツブリ科やコウノトリ科などの分類や、冬鳥、夏鳥、渡り鳥などの区分一覧を掲載。筑後地区での観察は珍しいクロツラヘラサギやコウノトリ、ベニアジサシなど、会員が撮りためた写真も載せている。
日本野鳥の会会長で俳優の柳生博さんは「野鳥がいるということは、食べる実や虫、すみかとなる森や水辺があるということ。動物や植物を滅ぼさないよう山や水辺を守ることは、私たちの子孫のためにもなる」と寄せている。
「探鳥地」は筑後地区の小中高校や大学、公立図書館などに寄贈するほか、書店などで1冊600円で販売している。
=2010/05/23付 西日本新聞朝刊=