昨日、図書館で借りてきた石川元「隠蔽された障害―マンガ家・山田花子と非言語性LD」を
一気に読む。
山田花子とは吉本新喜劇に出てくる、あの「花ちゃん」ではない。
漫画家の山田花子さんだ。
彼女は24歳の若さで、自ら死を選んだ。
生前彼女は分裂症だとされていたが、
両親へのインタビューや彼女の描いた作品、
小学生時代から自殺直前までの行動から
著者(精神科医)は、彼女を「非言語性LD」と結論付けた。
LDとは学習障害(Learning Disorders)のこと。
LDには言語性LDと非言語性LDがある。
まず言語性LD。
・読み書きやことばの発達の部分に問題がでる。
・聴覚からの情報処理の部分に弱さがある。
・ウエックスラーとK-ABC(知能テスト)では
言語性<動作性 継次処理<同時処理 の特徴がある。
・作文、論理的思考といった言語操作の部分で困難なことが多い。
次に山田花子が罹ったとされている非言語性LDについて。
・位置感覚、方向感覚などの視空間認知に弱さがある。
・協調運動の障害があり、不器用で日常生活動作がスムーズにいかない。
・ウエックスラーとK-ABC(知能テスト)では
言語性>動作性 継次処理>同時処理 の特徴がある。
・算数の量的理解、図形の問題の理解が困難なことが多い。
・体育、図工が苦手。
視覚認知、協調運動にはとくに問題をもたないが、 人との関係が不器用であり社会的不適応を起こす。
つまり言語性LDは学力になんらかの欠陥があることに対し、
非言語性LDは学力よりも寧ろ社会との関係がうまく結べないことに
重点が置かれていることがわかる。
(参考:http://homepage3.nifty.com/aries/dic-ld1.html
)
この本は、彼女に「本当の」病名をつけることに始終しており、
著述家の父親と、教師の母親もそれを望んでいるようである。
著者も両親も彼女の主観を理解(というか共感)しようとしない。
彼女が長年表現し続けてきた、社会に対する疎外感を
精神病患者の症状の1つとして見なす視点がなんだかとても哀しく思えた。