2010年3月24日 17時0分 更新:3月24日 22時5分
鳩山政権が当初予算として初めて編成した10年度予算は24日午後の参院本会議で可決、成立した。24日の成立は現憲法下で5番目の早さ。「コンクリートから人へ」のスローガンの下、公共事業費は過去最大の18.3%減の5兆7731億円に抑制して家計支援に重点的に配分した結果、一般会計総額は92兆2992億円と、2年連続で過去最大を更新した。景気の低迷による税収の急減により、新規国債発行額も過去最大の44兆3030億円となった。政府・与党はマニフェスト(政権公約)に掲げた子ども手当法案と高校無償化法案も月内に成立させる方針。
このほか、ガソリンの暫定税率の水準維持や、たばこ税引き上げを盛り込んだ税制改正法案など関連法案も成立した。
予算が成立したことで、マニフェストで約束した政策の一部が実施に移される。子ども手当は中学生以下の子ども1人当たり月額1万3000円を支給する。政府は11年度からマニフェスト通り1人月額2万6000円の満額を支給する方針。高校無償化は、公立高校で授業料を徴収せず、私立高校生には世帯の所得に応じて年11万8800~23万7600円の就学支援金を助成する。
モデル事業として実施する農業者戸別所得補償制度は、コメ農家に生産コストと販売の差額を直接、補てんする。国が示す生産数量目標の枠内で作付けすることが条件になる。高速道路の無料化は6月をめどに社会実験を行う。渋滞への影響を考慮し、幹線道路を避け、地方路線を中心に実施する。
また、医師不足に対応するため診療報酬を10年ぶりに0.19%アップ。患者の窓口負担は平均的な外来受診(3割負担)で月7.8円増える。雇用保険の対象者を拡大するために非正規社員の雇用保険加入要件を緩和。「6カ月以上の雇用見込み」を「31日以上」とする。
10年度予算が成立したことに鳩山由紀夫首相は同日夜、首相官邸で記者団に「子ども手当や高校無償化など予算が実感になり、『政権が代わったな』と国民に伝わってほしい」と語った。【鈴木直】