【東京】クリントン米国務長官は21日、都内で岡田克也外相と会談した。米軍普天間飛行場の移設をめぐり、クリントン氏は名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行案を軸とする解決を重ねて要求。岡田、クリントン両氏は5月末決着に向け努力する方針を確認した。社民党の福島瑞穂党首は同日の会見で、辺野古周辺を埋め立てる案が閣議で提示された場合、署名を拒むと明言。平野博文官房長官は、日米合意前に与党党首級の基本政策閣僚委員会を開く意向を示したが、与党内の了解を得る見通しは立っていない。
クリントン氏は現行案を念頭に「米軍の運用上有効で、政治的にも持続可能な解決策を追求している」と強調。「基地のある地域社会のインパクトを最小限にとどめたい」とし、地元合意の重要性を示唆した。
岡田氏は28日に発表する方向の合意文書について「大きな方向性を見いだしたい」と表明。会談後の会見で「まず日米間で合意案をつくり、その上で沖縄の皆さんに理解してもらう努力をする」と、日米政府間の合意を優先させる考えを示した。
一方、福島氏は会見で「沖縄と連立政権の同意がなく、日米声明で(移設を)確定的にするのは手続きとして問題だ」と異議を唱えた。平野氏は「与党了解を得て物事を進めなければならない」と慎重な姿勢を見せた。
日米審議官級の実務者は21日、外務省で協議し、代替施設建設や在沖米軍の県外移転などをめぐり合意文書の最終調整を行った。
鳩山由紀夫首相も同日、官邸でクリントン氏と会談。首相は、韓国の哨戒艦沈没を踏まえ「北東アジアが緊張している現在こそ、日米同盟が重要だ」と月内合意の重要性を指摘した。会談後、首相は記者団に、訓練の県外分散移転に関し「沖縄の過重な負担を極力国民で分かち合うことが大事だ」と指摘した。
一方、民主党県連の喜納昌吉代表は同日、北沢俊美防衛相と面談し「辺野古移設」は困難と伝えた。喜納氏によると、北沢氏は「仲井真弘多知事や徳之島を説得できておらず難しい」と述べつつ、くい打ち桟橋(QIP)方式に否定的な見解を示したという。