【コラム】真実の前に「死に体」の社民党(上)
4年後の89年、首をかしげるような出来事が始まる。日本社会党(現:社会民主党〈=社民党〉)の国会議員らが、韓国に収監されている政治犯29人の釈放を求める要望書を提出した。その一人が自国民を拉致した辛容疑者だった。韓国の金大中(キム・デジュン)大統領(当時)が「ミレニアム恩赦」で辛容疑者を釈放したのは10年後の1999年。翌年には北朝鮮に送還された。その後、北朝鮮で「全国統一賞」を授与され、顔が印刷された切手まで発行された。
この時の釈放要望書に署名した千葉景子議員は、97年に社会党を離党し、民主党に入党した。昨年、法務大臣になった時、「『うかつだったのかな』という気持ちはある」「大変申し訳ないという気持ちではある」と反省した。金大中大統領は2005年、朝日新聞とのインタビューで、「報告を受けていなかった。受けていたら別の措置を取っただろう」とし、それ以上は言及しなかった。
日本人拉致が改めてクローズアップされたのは、大韓航空機爆破事件の犯人・金賢姫(キム・ヒョンヒ)元北朝鮮工作員が日本語教師「李恩恵(リ・ウネ)」の存在を明らかにした87年だ。当時、韓国政府が日本に提供した情報は「李恩恵」の出身地・職業・特技・特別活動など具体的な内容だった。日本政府はこうした情報を基に似顔絵15万枚、ビラ130万枚を全国に配布した。
日本が「『李恩恵』は拉致被害者の飲食店店員・田口八重子さん」と発表したのは91年だ。それでも社会党は「捜査当局の発表だけでは事実確認できない」と抵抗した。だが実は、当時の社会党は真実に最も近いところにいた。88年に拉致被害者家族が真っ先に訴えた政治家こそ、土井たか子社会党委員長(当時)だったからだ。北朝鮮と金日成(キム・イルソン)主席のことをよく知っているだけに、問題を早期に解決してくれると信じていた。だが、土井氏は沈黙した。
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